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ジュニアバレリーナと指導者のための婦人科ガイド

ジュニアバレリーナと指導者のための婦人科ガイド|セーフダンスアソシエーション
Ballet Medical Support Team|婦人科ガイド

ジュニアバレリーナと
指導者のための婦人科ガイド生理が来ないことを、良いことにしないために。

バレエは美しさが求められる芸術であると同時に、アスリート並みの身体能力を必要とします。
だからこそ、月経不順や無月経を見過ごさず、正しい知識と医療につながる判断を大切にする必要があります。

このページは、ジュニアバレリーナの月経と健康を守るための婦人科ガイドです

初経の遅れ、月経不順、無月経、体重減少性無月経、女性アスリートの三主徴、骨密度低下など、バレエに関わるジュニア期の健康課題を、ダンサー本人・指導者・保護者が理解するために整理しています。

対象ジュニア
バレリーナ
対象指導者
保護者
テーマ月経不順
無月経
目的早期相談と
健康維持
大切な前提: 生理が来ないことを「バレエのためには良い」「太らないから良い」と捉えるのは誤りです。成長期の健康な月経周期は、その後の人生にも関わる重要なサインです。

月経を、身体からの大切なサインとして見る。

バレエでは、美しさやプロポーションが重視される場面があります。その一方で、過度な練習、体重コントロール、心理的な影響によって、初経が遅れたり月経周期が乱れたりすることがあります。

しかし、その状況を本人や指導する側が深刻に捉えず、医療機関につながっていないケースも少なくありません。月経に対する誤った理解のもとで指導が行われてしまうこともあります。

成長期のジュニアダンサーにとって、健康な月経周期を保つことは、一生の健康を考えるうえでとても大切です。まずは正しい知識を身につけ、月経不順を招く状況を作らず、必要なときには速やかに医療機関へつながることが大切です。

BASIC KNOWLEDGE

月経と女性ホルモンの基礎知識

月経は、成長期の身体の状態を知るための大切な健康指標です。

女性ホルモン

ライフステージとエストロゲン

女性の体では、それぞれのライフステージにおける女性ホルモンの変動が健康上の問題を引き起こすことがあります。

特にバレエダンサーが活躍する10代から20代前半にエストロゲンが不足すると、様々な問題が生じ、その後の人生にも影響を及ぼす可能性があります。

月経の仕組み

月経は妊娠の準備に関わる身体の働き

卵胞ホルモンであるエストロゲンは、子宮内膜を厚くしたり、思春期の身体の変化に関わるホルモンです。黄体ホルモンであるプロゲステロンは、子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に整えます。

これらが周期的に分泌されることで、月経周期が繰り返されます。

正常な月経の目安

初経平均年齢 12歳
月経周期25〜38日
出血持続日数3〜7日間(平均5日間)
閉経年齢45〜56歳(平均50.5歳)

これらを逸脱する場合、何らかの疾病が隠れている可能性もあります。必要に応じて婦人科の受診を検討しましょう。

婦人科の受診を検討してほしいサイン

以下のようなトラブルがある場合は、我慢したり、様子を見続けたりせず、婦人科の受診を検討してください。

  • 月経が2週間以上続く
  • 2週間おきに次の月経が来る
  • 3ヶ月たっても次の月経が来ない
  • 月経以外のときに出血する
  • 15歳になっても初経が来ない
  • 月経痛や過多月経、PMSがパフォーマンスに影響している
BALLET & HEALTH RISK

バレエダンサーの月経不順・無月経

審美性や体重管理が求められる分野では、月経不順や無月経が見過ごされやすい現実があります。

初経の遅れ

専門的な競技やトレーニングの開始年齢が早いほど、初経の遅れが見られる傾向があります。バレエでも同様に、初経発来の遅延や月経不順が報告されています。

体重減少性無月経

短期間の体重減少により無月経が起こることがあります。一般には3〜6か月以内に元の体重の15〜20%以上減少すると無月経になりやすいと言われます。

BMIと無月経

BMI 17.5未満では高率に無月経となり、BMI正常域の18.5〜25では無月経は少ないとされています。

女性アスリートの三主徴とは?

バレエダンサーが陥りやすい状態として、女性アスリートの三主徴があります。

女性アスリートの三主徴とは、「low energy availability(利用可能エネルギー不足)」の状態が続くことにより、卵巣を刺激する脳からのホルモン分泌が低下するために起こる「無月経」、それに引き続く「骨粗鬆症」をいいます。

利用可能エネルギー不足

運動量に対して、食事から得られるエネルギーが不足している状態です。

無月経

ホルモン分泌の低下により、月経が止まったり、周期が乱れたりする状態です。

骨粗鬆症

低エストロゲン状態などにより骨密度が低下し、疲労骨折や将来の骨折リスクにつながります。

詳しくはこちらもご覧ください:https://safedance.jp/bmst/selfcheckguide/

BONE HEALTH

骨密度低下について

10代の無月経や過激なダイエットは、その後の骨の健康にも影響します。

エストロゲンと骨

無月経は骨密度低下につながることがあります

骨密度は女性ホルモンであるエストロゲンと関連があります。無月経になるとエストロゲンが低下し、骨密度も低下してしまいます。

女性の骨密度のピークは18歳頃です。10代で過激なダイエットをしてしまうと、獲得できるはずの骨量を獲得できない可能性があります。

測定を考慮

骨密度測定を考えたい状態

  • 利用可能エネルギー不足が疑われる場合
  • 成人でBMI 17.5kg/m²以下の場合
  • 思春期で標準体重の85%以下の場合
  • 1年以上の無月経など、低エストロゲン状態が疑われる場合
疲労骨折や低骨密度は、バレエダンサーとしての活動期間だけでなく、その後の健康にも影響します。
SELF CARE

上手に月経とつきあうために

月経の記録と、相談できる婦人科とのつながりを持つことが大切です。

月経の日にちを記録する

月経が来た日、出血の期間、痛みや体調の変化などをメモしておきましょう。

かかりつけ婦人科を持つ

月経のトラブルは、女性の人生に大きな影響を及ぼすことがあります。気軽に相談できる婦人科を持つことが安心につながります。

早めに相談する

15歳で初経がない場合、3か月以上月経が止まっている場合、月経トラブルがパフォーマンスに影響している場合は相談を検討しましょう。

指導者の方へ

無理な減量を促したり、過剰なレッスンを行ったりすることは、月経不順や初経の遅れを招く可能性があります。

良いコンディションで活動するためには、各自の運動量に見合った栄養、十分な休養、睡眠が必要です。食事、運動、休養、睡眠のバランスが取れた生活を送れるように配慮し、レッスン時間や休養日の設定など、より良い環境づくりが求められます。

また、無月経や月経不順を見逃さないためには、生徒が相談しやすい雰囲気づくりや、定期的な面談など、生徒に寄り添った指導が大切です。

指導者が月経を「言いにくいこと」にしない空気をつくることは、ジュニアダンサーの未来を守ることにつながります。
FAQ

よくある質問

生理が来ないことは、バレエのためには良いことですか?

いいえ。月経が来ないことを良いことと捉えるのは誤りです。健康な月経周期は、成長期の身体と将来の健康を考えるうえで大切なサインです。

15歳になっても初経が来ない場合はどうすればよいですか?

15歳になっても初経がない場合は、婦人科の受診を検討してください。運動やダイエットが原因とは限らず、別の病気が隠れている可能性もあります。

3か月以上月経が来ない場合は受診が必要ですか?

はい。3か月以上月経が止まっている場合は、婦人科の受診を検討してください。無月経が続くと、ホルモンバランスや骨密度に影響する可能性があります。

月経周期はどのくらいが正常の目安ですか?

一般的には25〜38日程度が正常な月経周期の目安です。出血が3〜7日程度続くことも目安になります。大きく外れる場合や不安がある場合は、婦人科に相談しましょう。

月経が2週間以上続く場合はどう考えればよいですか?

月経が2週間以上続く場合や、2週間おきに月経が来る場合は、婦人科の受診を検討してください。出血量や体調の変化もあわせて記録しておくと相談しやすくなります。

バレエのために体重を落とすと月経に影響しますか?

短期間で大きく体重が減少したり、食事量が運動量に対して不足したりすると、月経不順や無月経につながることがあります。体重だけでなく、栄養・休養・睡眠を含めたコンディション管理が大切です。

女性アスリートの三主徴とは何ですか?

女性アスリートの三主徴とは、利用可能エネルギー不足、無月経、骨粗鬆症が関連して起こる状態を指します。バレエダンサーにも起こり得るため、月経不順や無理な減量を軽く見ないことが大切です。

無月経が続くと骨密度に影響しますか?

はい。無月経が続くとエストロゲンが低下し、骨密度の低下につながる可能性があります。10代は骨量を獲得する大切な時期なので、疲労骨折の既往やBMI低下がある場合は医療機関への相談がすすめられます。

月経痛やPMSでレッスンに影響がある場合は我慢すべきですか?

我慢し続ける必要はありません。月経痛、過多月経、月経前症候群などが日常生活やレッスンのパフォーマンスに影響している場合は、婦人科で相談することで対処法が見つかることがあります。

指導者や保護者はどのようにサポートすればよいですか?

無理な減量や過剰なレッスンを避け、食事・運動・休養・睡眠のバランスを整えられる環境づくりが大切です。また、月経について相談しやすい雰囲気をつくり、必要なときには医療機関につなげる姿勢が求められます。

バレエ界全体の、豊かな未来のために。

月経の問題を見過ごさず、身体からのサインとして受け止めること。ジュニアダンサー、指導者、保護者、医療者がつながることで、より安心して踊り続けられる環境を育てていきます。

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