哲学美学研究者
樋笠勝士先生、
芸術文化領域講師に着任
幼少期よりバレエに親しみ、哲学・美学を基盤に、 身体論や舞踊美学、空間感性論を研究されてきた樋笠先生を新たにお迎えします。
「身体とは何か」
「美とは何か」
「人はなぜ踊るのか」
樋笠勝士先生|哲学美学研究者・芸術文化領域講師
「正しく教える」ために、
知識を増やすことは大切です。
けれど、ときにはその手前にある、
「そもそも身体とは何か」
「なぜ人は踊るのか」という問いに戻ることも、
指導を深める大切な学びになります。
芸術文化領域講師として、
樋笠勝士先生が着任いたしました
この度、芸術文化領域講師として、哲学美学研究者の樋笠勝士先生が着任いたしました。
幼少期よりバレエに親しみ、舞踊美学や身体論を研究されてきた樋笠先生。 哲学や美学の研究を進める一方で、バレエ制作や舞台の裏方にも関わり、 バレエと理論の双方に長く接してこられました。
現代舞踊にも関心を広げ、ローザスやピナ・バウシュなどを視野に入れながら、 身体論や舞踊美学、さらには身体論や空間運動論と交叉させた 空間感性論としての「光の美学」を研究されています。
「そもそも何を教えているのか」を考える。
日本のバレエ教育を、
より多角的で綜合的な学びへ
樋笠先生は、日本では徒弟制度的な私的バレエ教育が盛んであり、 因襲的な関係における教育には濃密さや一定の効果がある一方で、 公平性、客観性、学問性、教養という点に課題があると指摘されています。
また、時代そのものが、バレエにおけるより公的な教育態勢を求めているとも考えています。
単なる訓練や修養だけではない教育へ。
指導者に求められるものは、身体技術の伝達だけではありません。 身体、安全、歴史、思想、制度などを含めた多角的で綜合的な知識を持ち、 その上で目の前の生徒や教育について考える力が必要です。
現代の指導者に求められる、
多角的な知識
樋笠先生が挙げるのは、解剖学や歴史だけではありません。 バレエ指導をより深く考えるためには、 人間や社会、文化を含めた複数の領域を横断する視点が必要だと考えています。
身体を理解し、安全性や合理性を考えるための基礎。
なぜその訓練を行うのかを、経験だけでなく根拠から考える視点。
バレエがどのような歴史や思想の中で成立してきたのかを知る。
芸術活動を社会の制度やルールとの関係から捉える。
技術だけを知るのではなく、身体、文化、社会を含めてバレエを捉えること。 樋笠先生の講義は、そのための知的な土台を広げていきます。
哲学・美学の視点から、
バレエを考える
本講座では、バレエ教育の視点の下で、哲学及び美学を講義します。
哲学では、どのようなことについても原理的な問い、 つまり「Xとは何か(What is X?)」を発します。
専門的な哲学史の知識は必要ありません。 可能な限り分かりやすく、こうした問いを一つひとつ考えていきます。
美学の主題は「美」と「芸術」と「感性」です。 バレエでは日常的に「美」が語られますが、 何が、どのような理由で美しいのでしょうか。 そもそも「美」とは何なのでしょうか。
また、バレエは「芸術」とみなされていますが、 そもそも「芸術」とは何なのでしょうか。 私たちは芸術を、芸術ではないものからどのように区別しているのでしょうか。
さらにバレエにおいては、ダンサーの踊り、舞台美術、音楽、 そして鑑賞や批評に至るまで、さまざまな「感性・センス」が問われます。
美とは何か
何を美しいと感じるのか。その判断はどこから生まれるのかを考えます。
芸術とは何か
バレエを芸術と呼ぶとき、私たちは何を芸術として見ているのかを問い直します。
感性とは何か
踊る側、つくる側、観る側、それぞれの「センス」について考えていきます。
「人はなぜ踊るのか」
あえて、問う時間をつくる
バレエは身体運動の一つです。 そこから、「人はなぜ踊るのか」「踊りとは何か」という問いが生まれます。
これらの「なぜ」や「〜とは何か」は、原理的な問いであり、哲学の問いです。
さらに、「踊り」と「歩く」という身体運動は、 何が同じで、何が異なるのでしょうか。
原始人も江戸時代の町民も「歩き」「踊り」ます。 しかし、その「踊り」の中に含まれる「バレエ」は、 西洋近代に始まる文化史的意味を持っています。
あえて立ち止まって考える。
こうした問いをめぐる思索は、 日々バレエのレッスンに取り組んでいる人にとって、 おそらく非日常的な時間です。
しかし、問わなければ一生考えないままかもしれないことを、 あえて問いとして言葉にしてみる。
その行為によって、自らの考え方はより豊かになり、より深くなっていきます。
問い、考えることは、
「教える」という活動につながる
樋笠先生は、こうした思索が単なる教養にとどまるのではなく、 「教える」という知的な活動に直接的な影響を与えると考えています。
本質を問うことの「知的な快楽」。
問いを立て、自分なりに考え、これまで見えていなかった前提に気づく。 その過程そのものが、哲学や美学を学ぶことで得られる知的な快楽です。
答えを一つ覚えるのではなく、 問いを持ち続け、自分自身で考えられるようになること。
それは、生徒に何を伝えるのか、なぜそれを伝えるのか、 そして自分はバレエをどのようなものとして教えているのかを 考え直す力にもつながっていきます。
指導者としての視座を、
もう一段深いところへ。
「人はなぜ踊るのか」。 「身体とは何か」。 「美とは何か」。
日常のレッスンでは通り過ぎてしまう問いに向き合い、 自らの考えを豊かにしていく。
問う。
考える。
そして、教えることを深めていく。
哲学と美学を、
バレエ教育の中へ。
解剖学や医学、歴史だけでなく、 思想や美学、社会制度まで含めてバレエを捉えること。
バレエ安全指導者資格®では、 指導者がより多角的で綜合的な視点を持てる学びを育てていきます。
本質を問うことの知的な快楽を味わいながら、
指導者としての視座をより一層深める時間を。
樋笠勝士先生
プロフィール
樋笠 勝士
KATSUSHI HIKASA / PHILOSOPHY・AESTHETICS神田外語大学教授、上智大学教授、岡山県立大学教授を経て、 現在は慶応大学言語文化研究所研究員、岡山県立大学特命研究員、 朝日カルチャーセンター講師、日本大学大学院講師。
専門は美学芸術学及び哲学。 身体論、舞踊美学、空間運動論などとも交叉させながら、 空間感性論をテーマとする「光の美学」研究を進めている。
