経験を重ねても、
学びは終わらない原 麻衣子先生|バレエ アカデミー・コンチェルト主宰
国内外の舞台でプリンシパルとして豊かな経験を重ね、現在は埼玉県鶴ヶ島市で生徒を育てる原麻衣子先生。華やかな経歴を持つ先生が、なぜ今も指導を学び続けるのか。教室づくり、古典への思い、そして専門家から学ぶことで経験がどのように指導の根拠・言葉・判断へ変わったのかを伺いました。
経験があるからこそ、学びによって指導を更新できる
原先生のお話から伝わるのは、経歴の華やかさだけではありません。海外留学、バレエ団でプリンシパルとしての経験や受賞歴を重ねたあとも、知らなかったことを受け止め、経験を新しい知識と照らし合わせ、指導を更新し続ける姿勢です。経験は完成形ではなく、学びによって説明・判断へ変わっていく。そこに、長く教え続ける先生の専門性が見えてきます。
指導の現場に立ち続ける限り、学びは終わらない。
原 麻衣子先生
豊かな舞台経験を次の世代へ。現在はバレエ アカデミー・コンチェルトを主宰しています。
国内外で積み重ねた舞台経験
- 海外での学び
チューリッヒのスイス国立バレエ学校へ1年間留学。カナダ、ロシア、イギリスなどでも研鑽を積みました。 - スターダンサーズ・バレエ団
8年間の在籍中、すべての公演に出演。ピーター・ライト版『コッペリア』『くるみ割り人形』をはじめ、プリンシパルとして活躍しました。 - 多彩なレパートリー
ケネス・マクミラン『コンチェルト』、ジョージ・バランシン作品、『ドラゴンクエスト』など、多くの作品で重要な役を踊りました。 - 受賞歴
1995年に日本バレエ協会優秀賞、1999年に村松賞を受賞。ほかにも多数の受賞歴があります。 - 現在
埼玉県鶴ヶ島市でバレエ アカデミー・コンチェルトを主宰し、次の世代の育成に力を注いでいます。
幅広い目的に応える、鶴ヶ島のバレエ教室
本格的に学びたい生徒から、バレエを楽しみたい生徒まで。それぞれの目的と段階に合わせた環境が整えられています。
子どもからシニアまで
年齢や経験に応じた細かなクラス編成で、幅広い世代がクラシックバレエを学んでいます。
舞台とコンクール
年1回の発表会に加え、ジュニアはコンクールや外部舞台、サマーコースにも挑戦します。
身体を整える学び
中谷広貴先生によるボディコンディショニング、小泉彩先生によるジャイロキネシスを実施しています。
表現の幅を広げる
コンテンポラリー、本格的に学ぶ生徒のためのパ・ド・ドゥクラスも用意されています。
バレエを通して、自分の言葉で伝えられる大人へ
原先生が目指しているのは、踊りの技術だけを身につける教室ではありません。レッスンや舞台で感じたことを受け取り、自分で考え、自分の言葉で伝えられる人へ育つこと。その成長までを見据えて生徒と向き合っています。
バレエは言葉を使わずに表現する芸術である一方、学びの過程では、理解したことや感じたことを言葉にする力も必要です。身体と心、表現と言葉を切り離さずに育てることが、将来どの道へ進む生徒にも残る大切な財産になります。
バレエを学んだ時間が、一人の人間として生きる力になるように。
伝統を深く知り、現代へつなぐ
原先生がバレエと生徒へ向けるまなざしには、海外経験で得た実感と、伝統芸術への強い敬意があります。
| 視点 | 原先生の考え | 指導へつながること |
|---|---|---|
| 世界共通の芸術 | 国やメソッドが違っても、基本の型を繰り返し身体へ入れる営みは共通しています。 | バレエという共通言語を通じ、人や文化とつながる力を生徒へ伝えます。 |
| 歴史と様式 | 日本で技術が向上した今こそ、作品の背景、文化、様式を学ぶことが重要です。 | 形だけを再現するのではなく、その踊りが生まれた意味まで理解する学びへつなげます。 |
| コンクール | 結果だけでバレエの価値を捉えず、参加する意味を丁寧に伝える必要があります。 | 順位や役柄による思い込みを避け、生徒がバレエ全体を見失わないよう支えます。 |
| 古典と現代 | 古典作品を見直し、深めると同時に、現代に合わせて発展させる視点も必要です。 | 伝統を固定されたものにせず、次の世代へ生きた芸術として手渡します。 |
ほどよく穏やかで、人のやさしい町
原先生が教室を構える埼玉県鶴ヶ島市。その町についても伺いました。
川越と坂戸の隣
小江戸として知られる川越市と、よさこいで知られる坂戸市に隣接し、都内にも出やすい立地です。
田舎すぎない心地よさ
静かさがありながら不便すぎず、人がやさしく親切。落ち着いて暮らし、学べる環境です。
歩いて見つけた風景
股関節手術後のリハビリで町を歩くなか、レトロな街並みや大きく見える富士山など、新しい魅力にも出会いました。
見慣れた町の中にも新しい発見を重ねていく。
資格講義で、経験に「別の見方」が加わった
原先生は、バレエ安全指導者資格®の魅力として、各分野の第一線で活動する専門家から学べることを挙げています。解剖学、栄養学、整形外科学、生体力学などは、安全にバレエを教えるうえで重要でありながら、踊り手としての訓練だけでは体系的に学ぶ機会の少なかった領域です。
なかでも特に印象に残ったのが、鶴谷先生によるチェケッティメソッドの講義です。ご自身はチェケッティ派ではないからこそ、ワガノワとの違いが新鮮に映り、ポール・ド・ブラの合理性と解釈を学ぶことで、腕の使い方と生徒への伝え方を見直すきっかけになりました。
ここで重要なのは、「新しい知識が、これまでの経験を否定した」のではないということです。むしろ、これまで身体で分かっていたことに別の説明が加わり、今まで一つだと思っていた方法に別の選択肢が生まれています。
さらに、各講義で得た知識を最後の実践講習で統合できることも、資格の魅力だと語ります。知識を知識のままにせず、目の前の生徒をどう見て、どう伝えるかまで落とし込む。その過程で、経験が新しい意味を持ち始めます。
経験に根拠と別の視点が加わり、指導の選択肢が増えていく。
経験豊富な教師が学び続ける、6つの意味
資格を取得すること自体をゴールにせず、経験を説明・判断・教室の仕組みへ更新していきます。
経験を言語化する
感覚で理解していたことに言葉と根拠が加わり、生徒へ説明しやすくなります。
違いから学ぶ
自分と異なるメソッドや専門領域に触れ、唯一の方法に固定されない指導へ近づきます。
生徒の個人差を見る
自分の身体や成功体験ではなく、目の前の生徒の身体・年齢・理解・反応を基準に考えます。
安全判断を増やす
身体、医学、心理、栄養、成長等から、続ける・止める・調整する判断材料を増やします。
専門外を知る
何でも教師一人で答えず、必要な場面では医療・心理・栄養等の専門家へつなぎます。
教室へ戻す
個人の学びを、レッスン設計、説明、ルール、研修、相談経路へ反映します。
経験を、現場の判断へ変える6つの流れ
SDAでは、知識を増やすことだけでなく、目の前の生徒に対して次の一手を選べることを重視します。
気づく
いつもとの違い、痛み、疲労、不安、理解の変化に気づく。
止める・調整する
必要なら課題、回数、負荷、参加範囲、言葉を変える。
事実を分ける
観察したこと、本人の言葉、自分の経験からの推測を分ける。
根拠と照らす
経験を、身体・医学・心理・栄養・成長・教育等の知識と照らす。
相談・つなぐ
自分の職域を越える問題は、責任者・保護者・専門家へつなぐ。
振り返り・実装する
結果を確認し、次のレッスンや教室の研修・方針へ戻す。
説明を、判断できる形へ。判断を、教室の仕組みへ。
学び続ける先生が、バレエの未来をつくる
華やかな経歴や長い指導経験があっても、目の前の生徒は一人ひとり異なります。身体・医学・心理・栄養・教育に関する知識も更新されていきます。
だからこそ、経験を持つ先生がさらに学ぶ意味があります。知らなかったことを恥じるのではなく、これまで培った経験を新しい専門知識と照らし合わせ、説明できることを増やし、判断の選択肢を増やしていく。
原先生の姿勢は、「経験がある先生ほど学ばなくてよい」のではなく、経験があるからこそ、新しい学びを現場へ深く結びつけられることを示しています。
そして、経験を更新し続ける姿勢を、さらに大きな誇りに。
個人の学びを、教室の安全能力へ。
先生一人が学び続けることは大切です。同時に、安全を特定の先生の経験や善意だけに依存させないことも必要です。
バレエ安全基準(BSS)は、尊厳、SNS・デジタル、心、身体、指導者の専門性、透明性という6カテゴリー・30項目から、教室の安全性と透明性を確認します。
身体接触、撮影・SNS、緊急対応、相談・苦情、専門家連携、継続研修などを、「先生なら分かっている」ではなく、教室として説明・確認できる状態へ変えていきます。
原麻衣子先生と教室についてのよくある質問
プロフィール、教室、指導理念、資格講義について簡潔にまとめました。
Q1. 原麻衣子先生はどこでバレエ教室を主宰していますか?
埼玉県鶴ヶ島市で「バレエ アカデミー・コンチェルト」を主宰しています。子どもを中心に、シニアまで幅広い年代へクラシックバレエを指導しています。
Q2. どのような生徒が学べますか?
本格的にバレエを学びたい生徒から、趣味として楽しみたい生徒まで、それぞれの目的に応じて学べます。年齢や経験に合わせてクラスが細かく編成されています。
Q3. クラシックバレエ以外にはどのようなクラスがありますか?
ボディコンディショニング、コンテンポラリー、ジャイロキネシスを実施しています。また、本格的に学ぶ生徒はパ・ド・ドゥクラスも受講できます。
Q4. 原先生が指導で大切にしていることは何ですか?
踊りの上達だけでなく、バレエを通して自分の言葉で伝えられる大人へ成長することを大切にしています。また、歴史や様式を学び、古典を現代へつなぐ視点も重視しています。
Q5. バレエ安全指導者資格®で特におすすめの講義は何ですか?
鶴谷先生によるチェケッティメソッドの講義です。ワガノワとの比較やポール・ド・ブラの合理性と解釈が、原先生ご自身の腕の使い方と生徒への指導を見直すきっかけになりました。
Q6. 経験豊富なバレエ教師にも学び直しは必要ですか?
原先生のお話からは、経験に専門的な根拠や異なるメソッドの視点が加わることで、感覚だけでは説明できなかったことを言語化し、指導の選択肢を広げられることが分かります。
あなたの経験に、専門家の視点と判断の軸を。
バレエ安全指導者資格®では、身体・医学・心理・栄養・成長・安全などを各分野の専門家から学び、経験を「知っている」から「説明できる・判断できる」へつなげます。
