錦織舞先生|指導者の「想い」をシェアするコラム

学ぶ先生から、学びをつなぐ先生へ。|錦織舞先生
バレエ安全指導者資格®︎ コラム

学ぶ先生から、
学びをつなぐ先生へ。錦織 舞先生|ジョイ・バレエ ストゥーディオ代表/認定講師

技術を急ぐのではなく、基礎を積み重ねること。競争だけに価値を置かず、音楽や物語、美しさを受け取る心を育てること。バレエを通して、健康な心と身体、そして社会の中で生きる力まで育てたい。錦織舞先生の歩みから見えてくるのは、舞台芸術としてのバレエを大切にしながら、自らも学び続ける教育者の姿です。

読了目安:約8分修了生・認定講師紹介執筆:バレエ安全指導者資格®︎事務局

錦織舞先生は、東京都豊島区を拠点にジョイ・バレエ ストゥーディオを運営し、豊島区・練馬区・所沢市で長くバレエの指導に携わってきました。

けれど、錦織先生の活動を「バレエを教える先生」という言葉だけで表すのは、少し足りないように感じます。

日々のスタジオで生徒と向き合う一方で、フランスの宮廷文化やバロック時代の舞踊を学び、フレンチバロック・オペラの全幕公演を企画・プロデュースするなど、バレエを歴史・音楽・舞台芸術の広がりの中で捉えてきた先生でもあるからです。

技術を教えることと、人を育てること。身体を学ぶことと、芸術を知ること。その両方を大切にしてきた歩みが、錦織先生の教育の土台にあります。

このシリーズでは、バレエ安全指導者資格®︎で学ばれた先生方が、何を大切にし、どのように指導を更新しているのかをご紹介しています。今回は、ジョイ・バレエ ストゥーディオ代表の錦織舞先生。長年の指導と舞台活動、2023年のベーシック講座・プロフェッショナル講座での学び、そしてその後の歩みまでをたどりながら、錦織先生が考えるバレエ教育を見つめます。
A TEACHER WHO SEES BEYOND TECHNIQUE

技術だけではないバレエを、長い時間をかけて伝えてきた先生

錦織先生が大切にしているのは、目の前の技術を早く完成させることだけではありません。

一つのことを続けること。すぐに結果が出なくても積み重ねること。自分自身を客観的に見ること。音楽や物語を受け取り、自分の身体を通して表現すること。

錦織先生が「自分にとってのバレエ」として挙げた言葉には、忍耐力、持久力、集中力、自己分析力、俯瞰する力、そして対人関係や経営までが含まれていました。

つまり、錦織先生にとってバレエは、踊りを習得するためだけのものではありません。

継続すること。努力を重ねれば、
時間がかかっても形になること。錦織舞先生の受講レポートより

長い時間をかけて自分自身と向き合い、人として成長していくための学び。

その感覚が、錦織先生の教育の中心にあります。

お名前
錦織 舞
スタジオ
ジョイ・バレエ ストゥーディオ
活動地域
豊島区/練馬区/所沢市
学び
ベーシック講座/プロフェッショナル講座
活動
バレエ指導/スタジオ運営
専門領域
バロック・ダンス/舞台文化
舞台活動
フレンチバロック・オペラの企画・プロデュース
教育の軸
健康な心身/基礎/芸術性/社会で生きる力
BALLET AS EDUCATION

「上手い子をつくる」だけではなく、社会で生きる人を育てる

錦織先生のスタジオでは、競争や結果だけを教育の中心には置いていません。

大切にしているのは、健康な心と身体を育てること。そして、バレエの中で身につけた力を、スタジオの外の人生にも持っていける人を育てることです。

プロを目指す人だけが、バレエを学ぶ価値を持つわけではありません。

長く続ける人もいれば、人生の途中で別の道へ進む人もいる。それでも、時間をかけて一つのことへ向き合った経験や、自分自身を見つめた時間は、その人の中に残ります。

結果ではなく、過程の中に残るもの

すぐにできることよりも、できないことへ向き合うこと。誰かと比べることよりも、自分の変化を知ること。

錦織先生は、バレエを通して得られるそうした経験を、教育の大切な一部として捉えています。

バレエを続けた時間が、その人の人生を支える力になる。

それが、錦織先生が目指してきたバレエ教育の一つの姿です。

BALLET AS A STAGE ART

点数や技術の先にある、「舞台芸術としてのバレエ」を忘れない

錦織先生のもう一つの大きな軸が、バレエを芸術として捉える視点です。

音楽があり、物語があり、時代背景があり、その中で身体が動く。バレエは、身体能力だけで完成するものではありません。

高い技術を身につけることも大切です。しかし、それが何を表現するための技術なのかを見失わないこと。

踊りは、音楽の体現でもある。
技術だけでなく、音楽や物語を表現できることを大切にしたい。錦織舞先生の受講レポートより

錦織先生は、現代のバレエ教育が分かりやすい成果へ傾きすぎることで、バレエが本来持っている芸術性が見えにくくなることを以前から考えてきました。

だからこそ、子どもたちにも、上達だけではなく、音楽を聴くこと、舞台を感じること、美しいものに出会うことを大切にしてほしいと考えています。

踊れる人を育てるだけではなく、芸術を受け取れる人を育てる。

ここに、錦織先生の教育者としての個性がよく表れています。

A LONG RELATIONSHIP WITH HISTORY

スタジオの外でも、歴史と舞台文化を学び、作品として届けてきた

錦織先生が長年向き合ってきた専門領域の一つが、ルイ14世時代のバレエを含むバロック時代の舞踊文化です。

ジョイ・バレエ ストゥーディオでは、フランス革命以前の宮廷文化を背景に持つフレンチバロック・オペラの公演活動にも取り組み、2012年の日本初演以降、継続して舞台の企画・プロデュースを行ってきました。

これは、日々のレッスンとはまた違う角度から、バレエを文化として考える活動です。

一つの作品が生まれた時代を知る。音楽や衣裳、社会背景を知る。舞踊が宮廷社会の中でどのような意味を持っていたのかを考える。

歴史を知ることは、「昔のこと」を覚えることではありません。
いま私たちが教えているバレエが、どのような文化の積み重ねの上にあるのかを知ることでもあります。

錦織先生がバレエに求める「美しさ」も、単に外見的なラインだけを意味していません。

長い時間をかけて基本を積み重ねる姿勢。作品や文化への敬意。舞台に立つ人としての知性や品性。

身体の技術と、その背景にある文化を分けずに考える。

その視点が、錦織先生の活動を、スタジオの中だけにとどまらないものにしています。

QUESTIONING EXPERIENCE

経験を正解にしない。長く教えてきたからこそ、もう一度学ぶ

こうして長く指導し、舞台活動にも取り組んできた錦織先生が、2023年にバレエ安全指導者資格®︎のベーシック講座、そしてプロフェッショナル講座で改めて学び始めました。

現役時代には、さまざまな先生のレッスンを受けること自体が学びの機会になります。しかし指導に専念し、スタジオを運営する立場になると、自分自身が教わる時間は少なくなっていきます。

錦織先生自身も、指導者になってから「学びの場を失っていた」と振り返っています。

思い込みや固定観念で教えが出来てしまう事に、
恐怖を感じました。錦織舞先生の受講レポートより

長く経験してきたことを理由に、自分の方法を正解にしない。

知らないことに出会ったら、知らなかったと認める。難しい内容であれば、何度も聞き直す。新しい知識に触れたら、これまでの自分の考えと照らし合わせる。

自分の指導を守るために学ぶのではなく、自分の指導を問い直すためにも学ぶ。

この姿勢が、錦織先生という教育者の大きな強さです。

THE RESPONSIBILITY TO KEEP LEARNING

「分かっているつもり」で教えない。教師だからこそ知識を更新する

受講後、錦織先生は「今までは自分の経験から、感覚的に教えていた」と振り返っています。

もちろん、長年身体で積み重ねてきた感覚は、指導者にとって大切な財産です。

しかし、それだけに頼るのではなく、身体、心理、栄養、成長、教育、安全などについて理論的な背景を知ることで、これまでの経験を別の角度から見直せるようになったと書かれています。

また、一度では理解しきれなかった内容を再視聴し、別の分野を学んだ後に戻ることで、以前はつながらなかった内容が理解できるようになったこともありました。

経験に、理論の言葉を加える

感覚で分かっていたことに理論が加わると、自分の中で理解が深まり、人へ伝えるときの選択肢も増えていきます。

錦織先生にとって学び直しは、これまでの経験を否定することではなく、経験をより確かな教育へ育て直すことでした。

教師だから完成しているのではなく、教師だからこそ学び続ける。

この考え方は、その後の錦織先生の歩みにもつながっていきます。

WHEN A LEARNER BECOMES A COLLEAGUE

そして私たちは、錦織先生に講師をお願いすることにしました

ベーシック講座、プロフェッショナル講座を通して学び続ける錦織先生の姿を見ながら、同時に私たちが改めて知ることになったのが、錦織先生自身が長年積み重ねてきた専門性でした。

バロック時代の舞踊文化を学び、舞台作品として実際に届けてきた経験。そして、クラシックバレエを単なるテクニックではなく、歴史や音楽、社会、礼儀や美意識までを含む舞台芸術として捉えてきた視点。

それは、ほかの指導者にもぜひ知ってほしい学びでした。

そこで錦織先生には、バレエ安全指導者資格®︎の講義において、ルイ14世時代のバレエとバロック・ダンスを扱う講師をお願いすることになりました。

技術だけでなく「知性と品性」も大切にされた時代から、
クラシックバレエの原点を見つめ直す。錦織舞先生からのメッセージより
A COMMUNITY THAT KEEPS LEARNING

講師になっても、学ぶ側であり続ける

錦織先生は、講師を担当するようになった現在も、「勉強を続けている立場です」と書かれています。

ここに、錦織先生らしさがあります。

講師になったから学び終わるのではない。認定されたから完成するのでもない。

自分が知らない領域については専門家から学び、自分が長年積み重ねてきた領域については、今度は自分が伝える。

一人の指導者が、すべての専門家になる必要はありません。
それぞれが自分の専門性を持ち寄りながら、知らないことを学び合う。その循環によって、指導者全体の知識と文化が豊かになっていきます。

錦織先生は、受講者の皆さんへのメッセージの中で、「私も皆様と共に学び、知識を増やしながら、指導者として日々成長していきたい」と書かれています。

教えることと学ぶことが、同時に続いていく。

錦織先生の歩みそのものが、その姿を示してくださっています。

WHAT SHE IS PASSING FORWARD

錦織先生がつないでくださっているもの

錦織先生、ベーシック講座、プロフェッショナル講座で学んでくださったこと、そして現在はご自身の専門性を、バレエ安全指導者資格®︎の学びへ届けてくださっていることに、改めて感謝申し上げます。

錦織先生の歩みをたどると、バレエ教育における「学ぶ」という言葉の意味が、少し広く見えてきます。

長く教えてきた先生が、もう一度生徒として学ぶ。

身体や安全について、新しい知識に出会う。

自分の教育観を問い直す。

同時に、自分が長い時間をかけて積み重ねてきた歴史や芸術の知識を、別の指導者へ手渡す。

学ぶ先生から、学びをつなぐ先生へ。

錦織先生がつないでいるのは、バロック・ダンスの知識だけではありません。

基礎を大切にすること。

結果を急がないこと。

健康な心と身体を育てること。

バレエを舞台芸術として受け取ること。

そして、教師自身が学び続けること。

技術だけではなく、バレエを文化として次の世代へ渡していく。

錦織舞先生は、日々の指導と舞台活動、そして学び続ける姿勢を通して、その一つの形を見せてくださっている先生です。

バレエ安全指導者資格®︎事務局

SAFE DANCE TEACHERS MAP

バレエ安全指導者資格 安全指導者MAP

各コースで学ばれた先生がいらっしゃる全国のスタジオを、お教室選びや相談先を探す際の参考にご覧いただけます。

※ピンをクリックすると、学ばれた先生のお名前やスタジオが表示されます。

執筆:バレエ安全指導者資格®︎事務局

提出レポートと講師として寄せていただいたメッセージをもとに、学び続ける先生方の歩みと、それぞれの専門性が次の指導者へつながっていく姿をご紹介しています。

NEXT STEP

学び続け、学びをつなげられる指導者へ

解剖学、整形外科学、栄養、女性の健康、心理、発達、音楽、歴史、指導法。バレエ安全指導者資格®︎では、バレエを一つの専門だけで捉えず、生徒の身体・心・生活を横断して考えるための学びを提供しています。

バレエ安全指導者資格
運営:Safe Dance Association(セーフダンスアソシエーション)
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