バレエ教室の写真・動画をSNSに掲載してもいい?同意と個人情報の基本

子どもの写真をどう守る? 国の個人情報保護とSNS対策からバレエ教室が学ぶこと【2026年10月】
国や行政の取り組みを、バレエ業界へ|2026年10月15日更新

子どもの写真を、
どう守る?個人情報保護法の改正と、SNS・生成AIへの新しい注意喚起から考える。

個人情報保護委員会、文部科学省、こども家庭庁が進める取り組みを紹介します。今の法律でバレエ教室にも関係すること、まだ始まっていない改正内容、学校などの動きから学べること。違いを整理しながら、日々の撮影と写真の公開を考えます。

執筆:バレエ安全指導者資格®事務局公的情報確認:2026年10月15日
国の取り組みを紹介します

写真や動画の扱いを、社会はどう変えようとしている?

子どもの写真や動画は、教室で過ごした時間を伝える大切な記録です。その一方で、SNSに公開すると、知らない人が保存したり、別の場所へ広めたり、生成AIで加工したりできてしまいます。

こうした問題に対し、国も法律の見直しや注意喚起を進めています。その内容を、子どもを預かるバレエ教室の先生にも知っていただくための記事です。

この記事は、「国や行政が発表した内容」と「それを参考にバレエ教室で考えられる対策」を分けて紹介します。学校に向けた資料も取り上げますが、学校向けの取り決めが、そのまますべての民間教室に義務づけられるという意味ではありません。

最初に大切なこと:民間のバレエ教室でも、事業として個人情報を扱う場合は、現在の個人情報保護法に従う必要があります。一方、2026年に公布された改正法の主要部分はまだ施行前です。「今守ること」と「これから備えること」を混同しないようにしましょう。
国や行政の新しい動き

2026年、どんな取り組みが進んでいる?

個人情報保護委員会|法律の見直し

2026年7月17日、改正個人情報保護法が公布されました。16歳未満の子どもの個人情報等について、保護者など法定代理人の関わりを強める規定があります。主な改正部分はまだ施行されていません。

文部科学省|生成AIによる画像悪用への注意

2026年3月12日、学校などに向けて、子どもの写真が性的な画像に加工される「性的ディープフェイク」の被害・加害を防ぐ啓発資料の活用を呼びかけました。

こども家庭庁|写真・動画の投稿を考える

こどもの写真や動画をネットに投稿するときの注意点をリーフレットなどで案内しています。学校や家庭への呼びかけも、バレエ教室の写真の扱いを考える参考になります。

それぞれ目的と対象が違います。法律によって事業者に適用されるルールと、学校や家庭向けの注意喚起は同じものではありません。
対象を正確に知る

バレエ教室にも直接関係すること、参考にしたいこと

国の資料と民間バレエ教室との関係
区分何についてのルール・資料?バレエ教室との関係
現在の個人情報保護法事業として個人情報を取得・利用・管理するときのルールです。個人で経営する教室でも、事業の中で個人情報を扱うなら適用され得ます。小規模だから自動的に対象外にはなりません。
2026年の改正個人情報保護法16歳未満の子どもの情報への配慮を強めるなど、法律を見直すものです。民間事業者にも関係する改正ですが、主要部分は施行前です。今は準備と最新情報の確認が大切です。
文部科学省の画像加工防止の啓発児童生徒を守るため、学校などで資料を活用するよう呼びかけています。民間教室に新しい義務を直接つくる資料ではありません。同じように子どもの写真を扱う現場として学べます。
こども家庭庁の注意喚起子どもの写真や動画をSNSに公開するときの安全上の注意を伝えています。家庭や教室の写真管理を考えるための資料です。法令にない一律の撮影禁止を定めたものではありません。
法律の適用は「バレエ教室」という名前で決まるのではなく、誰が、何のために、どのように情報を扱うかによって判断します。
2026年10月15日現在

改正個人情報保護法は、まだ準備が進んでいる段階

2026年7月17日に改正法が公布されました。公布とは、成立した法律を国が正式に知らせることです。公布と、実際に新しいルールが始まる「施行」は別です。

改正では、16歳未満の子どもの個人情報等について、法定代理人への通知や同意など、子どもを守るためのルールが強められます。ただし、具体的な場面で何が必要になるかは、改正条文や今後の規則等と合わせて確認する必要があります。

個人情報保護委員会は9月16日、10月1日に続き、10月14日にも政令・規則の整備に向けた検討状況を更新しました。主要部分の施行日は今後の発表を確認してください。

成立2026年
7月10日
公布2026年
7月17日
追加の検討2026年
10月14日
主な改正部分まだ施行前
よくある誤解:「16歳未満の写真は、2026年10月からすべて保護者同意が法律で必須になった」という説明は正確ではありません。現在のルールと、まだ施行されていない改正内容を分けて考えます。
今ある法律の基本

顔写真も、個人情報になるの?

はい。顔などから本人が分かる写真は、一般に「個人情報」に当たります。名前が写っていなくても、声、衣装、教室名、日時などと組み合わせて本人が分かることがあります。

個人情報保護法には「個人情報」と「個人データ」という別の言葉があります。写真が、名簿などと整理されて検索できる形で管理されているかによっても、適用されるルールが変わる場合があります。

個人情報保護委員会のFAQでは、単体の写真は通常「個人データ」に当たらない場合がある一方、利用目的の通知・公表が必要であり、知らない人にも見られる形で提供するときは自主的に本人の同意を得ることが望ましいと説明しています。「個人データでなければ自由に公開できる」という意味ではありません。

顔だけで判断しない

衣装、名前、声、学校や教室、撮影場所、他の投稿なども合わせて確認します。

何のために使うかを伝える

指導用の記録なのか、保護者向け共有なのか、宣伝用の投稿なのかを分けて考えます。

公開するときは肖像や気持ちにも配慮

法律上の第三者提供の同意が必要かとは別に、プライバシーや肖像への影響を確かめます。

子どもの声を聞く

保護者だけでなく、写る本人にも説明する

子どもは、先生や周囲の大人に「嫌です」と言いにくいことがあります。保護者が広報への掲載を認めていても、本人が嫌がっているなら、なぜ嫌なのかを聞き、無理に撮影・公開しないことが大切です。

個人情報保護委員会の現行FAQでは、法定代理人の同意が必要になる年齢は一律には決まらず、情報の内容や本人の判断力などで考えるとしています。そのうえで一般的な目安として「12歳から15歳までの年齢以下」を示しています。これは2026年改正法の「16歳未満」と同じ意味ではありません。

保護者へ

撮影の目的、掲載場所、名前を出すか、削除の方法を伝えます。

本人へ

「誰が見るか」「断っても大丈夫か」を簡単に説明し、その日の気持ちも確認します。

教室へ

写りたくない子が目立たずに断れるよう、撮影エリアや掲載素材を工夫します。

学校の現場から学ぶ

文部科学省が伝えている「生成AIによる画像の悪用」

2026年3月、文部科学省は学校などに向けて、子どもの写真を生成AIで性的な画像に変える「性的ディープフェイク」の被害や加害を防ぐため、啓発資料の活用を呼びかけました。

これは、民間バレエ教室に直接新しい法的義務を課す通知ではありません。しかし、写真や動画を日常的に撮るという点では、教室も学校と共通する課題を抱えています。

一度ネットに出した画像は、第三者に保存・加工される可能性があります。保護者が掲載に同意したとしても、その後の悪用まで許可したわけではありません。

投稿する画像を選ぶ

着替え中、身体の一部を強く写した画像、本人が嫌がる場面などを広報に使わない。

個人が分かる情報を減らす

フルネームと顔、教室名、通う曜日、位置情報などをセットで出さない。

被害が起きたときの連絡先を決める

画像を再拡散せず、URLや投稿日時を記録し、SNS運営会社や警察などに相談できるようにする。

文部科学省の発表は学校現場向けです。バレエ界で同じ規模の被害が確認された、という意味ではありません。出典:文部科学省の啓発ページ。
身近な場面で考える

発表会・日常レッスンの撮影ルール

レッスン中

撮る人、撮影する時間、指導目的の動画がSNSに転用されないことを決めます。

発表会の客席

撮影の可否と、ほかの生徒が写った動画を公開してよいかを別々に案内します。

更衣室・楽屋

着替えや衣装調整を行う場所は撮影禁止にし、スタッフや外部業者にも伝えます。

舞台のライブ配信

配信先、視聴できる人、録画や再配信の扱いを事前に決めます。

集合写真

人数が多くても本人を判別できる場合があります。写らない選択肢を用意します。

先生個人のSNS

公式アカウントと違い、教室側で管理しにくいことを理解し、無断掲載を避けます。

教室からの事前案内が役立ちます。申込時の説明、発表会のプログラム、会場掲示などで「撮影できるか」と「SNSに投稿できるか」を分けて伝えましょう。
外部への共有も確認

カメラマン・クラウド・AIに写真を渡すとき

写真をSNSに投稿しなくても、外部のカメラマンや編集会社、クラウドサービス、画像生成AIに画像を渡すことがあります。ここでも情報管理が必要です。

外部業者に写真の管理を任せることが、法律上の「第三者提供」に当たるとは限りません。委託かどうか、サービス事業者がデータを扱うか、国外への提供かなどで判断が変わります。

外部カメラマン

撮影場所、画像の納品方法、他で使わないこと、保管・削除の期限を決めます。

クラウド保存

誰が閲覧・ダウンロードできるか、退職した先生がアクセスできないかを確認します。

AI画像編集アプリ

生徒の写真を勝手にアップロードしません。サービス側の保存・学習利用・削除条件を調べます。

先生の私物スマートフォン

画像が個人端末に残り続けないよう、教室で保存場所と削除方法を定めます。

公開後の対応も大切

「やっぱり消してほしい」と言われたら?

子どもや保護者の気持ちは、成長や状況によって変わります。以前は掲載に同意していても、後から削除を希望する場合があります。

法律上、削除や利用停止が必ず必要になる条件は個別に異なります。だからこそ教室では、相談を受け付け、確認し、自分たちが管理できる範囲で対応する流れをあらかじめ決めておきましょう。

1

受け付ける

連絡先を公開し、相談を受ける。

2

投稿を確かめる

URL、画像、本人との関係を確認。

3

対応を決める

教室管理の投稿を非公開・削除するなど対応。

4

結果を伝える

転載分など回収できない範囲も説明。

無断転載や性的な画像加工が疑われるときは、画像を周囲へ転送せず、必要最小限の証拠を安全に保管し、プラットフォーム・警察などへ相談します。
教室で確認できること

撮影・SNS運用の10項目チェック

1. 撮影の目的

指導記録、発表会記録、広報、広告など

2. 掲載する場所

ホームページ、Instagram、YouTube、印刷物など

3. 公開される範囲

会員限定か、誰でも見られるか

4. 名前などの表示

氏名、所属、日時、場所、音声など

5. 同意しない選択

断ってもレッスンや配役で不利益を受けない仕組み

6. 子ども本人への説明

本人が分かる言葉で説明し、気持ちを確認

7. 外部業者への共有

撮影者、制作会社、クラウド等の利用

8. 画像の保管期間

元データと公開投稿をいつ見直すか

9. 削除の受付先

誰に連絡すればよいか、どこまで対応できるか

10. 管理する人

撮影端末、投稿権限、パスワード、退職時の対応

SDAによる教室方針の一例:「当教室では、写真・動画の撮影目的と公開先を事前に説明します。広報への掲載は選択でき、同意しない場合もレッスンや舞台への参加で不利益はありません。掲載後のご相談は教室窓口で受け付けます。」
バレエ業界の取り組み

先生一人の判断だけに任せないために

国の法律や学校向け資料を読むことは、教室の安全を考えるきっかけになります。ただし、日々の撮影ルール、管理担当者、保護者への説明、相談への対応は、教室ごとに決めて続けていく必要があります。

バレエ安全指導者資格®では、個人情報やSNSの扱いを、身体の安全、心理的安全、指導者の責任と合わせて考えています。バレエ安全基準(BSS)も、教室の取り組みを確認するための参考資料です。

よくある質問

写真・動画の取り扱いで迷ったとき

バレエ教室も個人情報保護法の対象ですか?

はい。教室が事業として個人情報を取り扱う場合、小さな個人教室でも関係します。ただし、具体的な義務は取り扱う情報や方法によって異なります。

2026年の改正法はもう始まっていますか?

2026年7月17日に公布されましたが、10月15日現在、主な改正部分は施行前です。現在の法律に従いながら、新しい政令・規則等の発表を確認しましょう。

写真をSNSに出すとき、法律上いつも同意書が必要ですか?

すべての写真に一律で同じ書面が必要というわけではありません。写真が個人データに当たるか、公開の仕方などで変わります。ただしプライバシーや肖像に配慮し、用途を説明して本人・必要に応じて保護者の同意を得ることを勧めます。

撮影に同意してもらえば、広告にも使えますか?

指導記録と広告では目的が違います。最初の説明に広告利用が含まれているか確認し、必要に応じて改めて同意を得ましょう。

子ども本人が嫌がっていても、保護者が許可すれば大丈夫ですか?

保護者への確認だけでなく、本人の気持ちも尊重することが大切です。断りにくい場面を作らない工夫も必要です。

集合写真なら同意の確認は不要ですか?

人数が多くても個人を判別できる場合があります。公開範囲や写る人を確認し、写らない方法も用意します。

後ろ姿や顔を隠した写真なら安全ですか?

衣装、名前、教室名、日付、場所などから本人が分かる場合があります。顔だけで判断しないようにします。

学校向けの生成AI対策は、バレエ教室にも義務ですか?

文部科学省の2026年3月の資料は学校等への啓発です。民間教室に新たな法律上の義務を直接課すものではありませんが、子どもの写真を扱う点で参考になります。

先生の個人アカウントへ生徒の写真を載せてもよいですか?

教室公式の発信とは目的や管理者が異なります。教室の許可と本人・保護者への説明を確認し、無断掲載を避けましょう。

外部カメラマンやクラウドへ渡すと、必ず第三者提供ですか?

必ずしもそうではありません。委託の内容やサービス側が個人データを扱うかなどで変わります。契約、保管、アクセス権限、削除方法を確認します。

後から削除してほしいと言われたら?

投稿を確認し、教室が管理する媒体で対応できることを検討します。転載先など完全には回収できない場合もあり、その範囲を説明します。法的な対応義務はケースにより異なります。

教室として最初に何を決めればよいですか?

誰が撮るか、何のために使うか、どこへ載せるか、誰が許可するか、削除は誰に頼むか。この五つをまず紙や教室の案内に書き出しましょう。

公的資料・参考情報

公式の発表を自分でも確認できるように

国・行政機関の資料を中心に掲載しています。内容は、2026年10月15日現在の公表情報をもとにしています。

※この記事は制度を紹介する一般的な教育記事です。学校向けの通知がそのまま民間教室の義務になるとは限りません。具体的な法律上の判断は、画像の管理状況、利用目的、契約・事業の形態などにより異なります。

執筆:バレエ安全指導者資格®事務局

国や行政の新しい取り組みを、全国のバレエの先生や教室へ紹介しています。公式資料の内容と、教室運営に役立つ具体例を分けてお伝えします。

教室の魅力を伝えながら、子どもの安心も守る。

写真や動画を使うこと自体が悪いのではありません。誰が写り、誰に届き、どのように使われるのか。先生と子ども、保護者が一緒に確認できる環境をつくっていきましょう。

バレエ安全指導者資格®

運営:Safe Dance Association(セーフダンスアソシエーション)

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