【活動報告】学習院大学 舞踊学総合講座 開講記念イベント『はじめてのバレエ学』登壇レポート
バレエ安全指導者資格®︎コラムVol.40
みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。
今回は、活動報告回としてお届けいたします。
2026年4月18日、学習院大学にて開催された舞踊学総合講座「舞台・映像芸術D」の開講記念イベント【はじめてのバレエ学】に、セーフダンスアソシエーションを代表して、中谷が登壇いたしました。
https://www.univ.gakushuin.ac.jp/events/31948.html
このような学術的な場にお招きいただき、素晴らしい専門家の皆さまとともに、バレエの歴史、教育、身体、そしてこれからの日本のバレエについて語り合う機会をいただけましたこと、心より感謝申し上げます。
本コラムでは、当日の様子と、そこから改めて見えてきた日本のバレエ界のこれからについて、ご報告いたします。
世界のバレエ史から、日本の現在地を見つめる時間
本イベントは、世界のバレエ史から日本の現状までを俯瞰し、日本のバレエが持つ特徴や現在の立ち位置を、学術的かつ立体的に紐解いていく内容でした。
第1部「バレエ学入門」では、学習院大学非常勤講師の高橋由季子先生、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館助教の近藤つぐみ先生より、バレエの歴史について大変貴重なお話がありました。
バレエ発祥の地であるイタリアから、フランス、ロシア、バレエ・リュスの潮流へ。
さらに、イギリス、アメリカ、そして日本のバレエの礎となった三人のパブロワへと至る、壮大な歴史の流れが丁寧に解説されました。
バレエは、ただ踊りとして存在してきたものではなく、それぞれの時代や国、社会、思想、文化と深く結びつきながら形を変えてきた芸術です。その歴史的な文脈を改めて辿ることで、今私たちが日本で向き合っているバレエ教育や指導環境についても、より大きな視点から考える機会となりました。
日本のバレエ教育の現状について
その流れを受け、中谷からは「日本のバレエ教育の現状」についてお話しさせていただきました。
自身のバレエ団での経験、そして現在、バレエ安全指導者資格®︎を通して全国の指導者の先生方と関わる中で見えてきたこと。
日本のバレエ教育には、熱心な先生方の努力や、子どもたちを大切に思う現場の力が確かにあります。
一方で、指導者を支える制度や、学び直しの機会、医療・心理・栄養などの専門知との連携については、まだまだ整えていく余地もあります。
経験や感覚だけに頼るのではなく、身体の仕組み、成長段階、心理的安全性、そして社会の変化を踏まえながら、指導をアップデートしていくこと。
それは、これからの日本のバレエ環境にとって、とても大切な課題であると感じています。
続いて、国内外で活躍されているバレエダンサーの針山愛美氏より、「世界のバレエ教育」の実態について、貴重なお話を伺いました。
日本の外にある教育環境や、国による制度の違い、バレエを取り巻く考え方の違いを知ることは、日本の現在地を見つめる上でも大変重要な時間となりました。
身体で感じるバレエ
第2部「身体で感じるバレエ」では、アンナ・パブロワ、マイヤ・プリセツカヤ、ウリヤーナ・ロパートキナという歴史的ダンサーたちによる『瀕死の白鳥』の映像を比較視聴しました。
同じ作品でありながら、時代や身体性、音楽の捉え方、表現の質感によって、まったく異なる世界が立ち上がってくる。
映像を通して、バレエという芸術の奥深さを改めて感じる時間となりました。
その後、針山愛美氏による実演も披露されました。
映像で歴史を辿った後に、目の前で身体を通して表現が立ち上がる瞬間を共有できたことは、非常に豊かな体験でした。
実演後のクロストークも大変充実したものとなり、作品、身体、教育、そしてこれからのバレエについて、多角的な視点から意見が交わされました。
日本のバレエには、これからの可能性がある
世界の歴史や基準と比較したとき、日本のバレエ環境は、どうしても遅れをとっているように見える部分があるかもしれません。
制度の整備。
指導者教育。
研究との接続。
医療や心理、栄養との連携。
そして、ダンサーや指導者が長く安心して活動できる環境づくり。
たしかに、取り組むべき課題は少なくありません。
けれど中谷が当日お伝えした通り、だからこそ日本には、これからいかようにも進化していける大きな可能性があります。
まだ形が決まりきっていないからこそ、新しい仕組みをつくることができる。
現場の声を反映しながら、より良い教育環境を育てていくことができる。
そして、実践と研究、芸術と安全、伝統と現代の知見をつなぎ直していくことができる。
私たちは、その可能性を強く感じています。
イベント終了後には、深夜に至るまで、有識者の皆さまと多角的な研究や考察を交わす機会にも恵まれました。
その時間を通しても、日本のバレエ界には、まだまだ語るべきこと、研究すべきこと、そして現場へ還元していくべきことが数多くあるのだと、改めて感じました。
実践と研究をつなぐことの大切さ
今回の一連のプログラムを通じて、改めて浮き彫りになったのは、「踊る」という実践の場だけでなく、バレエ経験者が「研究の現場」へとさらに進出していくことの重要性です。
踊ってきた人だからこそ分かる身体感覚があります。
指導してきた人だからこそ見えている現場の課題があります。
生徒と向き合ってきた人だからこそ、言葉にできる違和感や問いがあります。
そうした実践に基づく知見が、学術研究とつながることで、バレエ教育はより深く、より安全に、そしてより豊かに発展していくはずです。
実践と研究をつなぐ人材の層を厚くしていくこと。
それは、指導のアップデートや業界全体の安全性向上を目指すバレエ安全指導者資格®︎の理念とも、深く重なる課題です。
日本のバレエの次の100年へ
イベントの最後には、中谷より「日本のバレエの次の100年のビジョン」についてもお話しさせていただきました。
バレエは、過去から受け継がれてきた大切な芸術です。
けれど同時に、これからを生きる子どもたち、ダンサー、指導者、保護者、研究者、そして社会全体とともに、未来へ向けて育てていくものでもあります。
セーフダンスアソシエーション、およびバレエ安全指導者資格®︎では、今後もこのような学術的な場との連携を大切にしながら、日本のバレエ環境の発展に向けて、できることを一つひとつ積み重ねてまいります。
現場の先生方の声を大切にすること。
医療、心理、栄養、教育、芸術研究とつながること。
安全に学び、安心して踊り、長くバレエと関われる環境をつくっていくこと。
そのすべてが、日本のバレエの未来につながっていると考えています。
ご来場いただいた皆さま、ならびに関係者の皆さま、このような貴重な機会を誠にありがとうございました。
セーフダンスアソシエーション
バレエ安全指導者資格®︎ 事務局
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