バレエと音楽性について

バレエと音楽性について

バレエ安全指導者資格®︎コラムVol.44

みなさま、こんにちは。
バレエ安全指導者資格®︎事務局です。

今回は、バレエにおける音楽性についてお話ししたいと思います。


バレエのレッスンでは、

「もっと音楽を聴いて」
「音に合わせて」
「音楽を表現して」

という言葉がよく使われますが、私たちは、音楽性という言葉を、本当に理解して使えているでしょうか。

音楽を聴くとは、何を聴くことなのでしょうか。
音に合わせるとは、何に合わせることなのでしょうか。

そもそもバレエを教える私たちは、音楽そのものについて、どれくらい学んできたでしょうか。

拍子の違い。
リズムの取り方。
フレーズの流れ。
アクセント。
テンポ。
呼吸。
音楽の構造。
踊りと音楽がどのように関係しているのか。

それらを理解しないまま、
「もっと音楽を聴いて」
「音楽的に踊って」
と伝えてしまっていることはないでしょうか。

もちろん、バレエの先生方が音楽を大切にしていないということではありません。
多くの先生方が、音楽とともに踊る美しさを、生徒たちに伝えたいと願っているはずです。
ですが、どれだけ願っていても、先生自身の中に音楽を捉えるための知識や言葉がなければ、それを生徒に伝えることは難しくなります。

先生の中にないものを、生徒が学ぶことはできません。

少し厳しい言葉かもしれません。
けれど、これからのバレエ教育にとって、とても大切な視点だと私たちは考えています。

バレエにとって、音楽は単なる伴奏でもBGMでもありません。
動きを支え、空間をつくり、感情を導き、身体の質感までも変えていく、大切なパートナーです。

音楽への理解が深まることで、バレエはただ順番をこなし、脚を上げ、回り、跳ぶものではなくなります。
身体と音楽が出会い、そこに意味や表情が生まれることで、バレエは芸術としての深さを持ち始めます。

たとえば、ヴァリエーションの指導の場面。
ジャンプが間に合わないから音を速める。
回転が間に合わないから音を遅くする。
生徒が踊りやすいように、音楽そのものを都合よく変えてしまう。

もちろん、練習の過程でテンポを調整すること自体が、すべて悪いわけではありません。
身体がまだ準備できていない段階では、ゆっくり確認する時間も必要です。
けれど問題は、音楽の構造や意図を理解しないまま、都合だけで音を変えてしまうことです。

音楽には、作曲家の意図があります。
フレーズがあり、呼吸があり、流れがあります。
その音楽が持っている美しさがあります。

もし音楽家であれば、「ここで回りにくいから」「ここで跳びにくいから」という理由だけで、音楽を安易に変えることはしないでしょう。

ではなぜ、バレエの世界ではそれが起きてしまうのでしょうか。
そこには、バレエの中で音楽が大切だと言われながらも、音楽について学ぶ機会が十分に用意されてこなかったという現実があるのかもしれません。

音楽に合わせているつもりで、実はカウントだけを追っている。
音楽を表現しているつもりで、実は振付のタイミングを処理しているだけになっている。

これは、日本のバレエの現場における、ひとつの課題だと感じています。
だからこそ私たちは、今あらためて、バレエのための音楽理解を学び直すことが必要だと考えました。

音楽を専門家だけのものとして遠ざけるのではなく、バレエ教師が、生徒に伝えるための言葉として学ぶこと。
拍を知り、リズムを感じ、フレーズを捉え、音の重さや軽さ、流れや余白を身体で受け取ること。

それは、音楽家になるための学びではありません。
踊る身体を、もう一度音楽とつなぎ直すための学びです。

その解決の糸口として、私たちは作曲家・東俊介先生とともに、リトミック・ネクストというコースを創設いたしました。

リトミック・ネクストは、子ども向けのリトミックを学ぶ講座ではありません。
バレエに関わる人が、音楽を「聴くもの」から、身体で「感じ、考え、表現するもの」へと捉え直すための学びです。

「音に合わせて」ではなく、どの音を聴くのか。
「もっと音楽的に」ではなく、どのフレーズをどう感じ、どう動きにつなげるのか。

その言葉を持てるようになったとき、生徒たちの踊りもまた、ただ正確に動くものから、音楽とともに生きるものへと変わっていくはずです。

バレエを、ただの運動で終わらせないために。
音楽を、ただの伴奏にしないために。
そして、生徒たちが本当の意味で音楽とともに踊れるようになるために。

リトミック・ネクストが、その新しい学びの入り口となれば嬉しく思います。

バレエ安全指導者資格®︎ 事務局


東先生監修のリトミック・ネクストコース詳細はこちら

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