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魔法の言葉「頑張って」の前に知っておきたいこと

魔法の言葉「頑張って」の前に知っておきたいこと|子どものバレエと安全な声かけ
バレエ安全指導者資格®コラム Vol.28

魔法の言葉「頑張って」の前に知っておきたいこと10年後もわが子が「バレエを習って良かった」と笑えるために

「頑張って」は、お子様を応援したい気持ちから生まれる、とても自然な言葉です。けれど、バレエには頑張る気持ちだけでは乗り越えられないこともあります。痛みに気づくこと、休むこと、自分の身体を守ることも、長く踊るための大切な力です。

執筆:バレエ安全指導者資格®事務局読了目安:約10分
QUICK ANSWER

結論:「頑張って」に、身体を守る視点を添える

「頑張って」と言うこと自体が悪いのではありません。大切なのは、痛みや不調を我慢することまで“頑張り”に含めないことです。「無理していないかな?」「楽しめているかな?」と確かめ、自分の身体の声を聴ける子どもへ育てていきます。

努力挑戦する気持ちを応援する
身体痛みを我慢させない
休養休む・待つことも認める
未来自分を守る力を育てる
A WORD OF SUPPORT

「頑張って」は、愛情から生まれる言葉

みなさま、こんにちは。バレエ安全指導者資格®事務局です。

【10年後もわが子が「バレエを習って良かった」と笑えるために】をテーマにお届けしているコラム。第2回目の今回は、「頑張って」という言葉について、一緒に考えてみたいと思います。

レッスンに向かうお子様の背中。できなかったことができるようになっていく姿。悔しくて涙を流しながらも、また立ち上がろうとする姿。

そんな姿を見ると、私たちはつい、「頑張ってね」「もう少し頑張ればできるよ」と声をかけたくなります。それは、お子様を応援したい気持ちから生まれる、とても自然な言葉です。

応援したい気持ちは、そのままで。
言葉の前に、子どもの身体と心を見つめる。
GROWING BODY

バレエは「努力すればするほど伸びる」だけではない

成長期の身体には、挑戦だけでなく、休養と時間が必要です。

01

未完成の身体

成長期の子どもたちの身体は、大人より柔らかく、変化の途中にあり、負担の影響を受けやすい状態です。

02

頑張りすぎる気持ち

先生に褒められたい、もっと上手になりたいという純粋な気持ちから、痛みや違和感があっても「大丈夫」と無理をすることがあります。

03

休む・待つ力

その日の状態に合わせて休むこと、負荷を下げること、成長を待つことも、長くバレエを続けるための大切な選択です。

「努力できる子」だけを良い子にしないこと。休みたい、痛い、不安だと伝えられることも、自分の身体を大切にする立派な力です。
BODY MESSAGE

「痛い」は、身体からの大切なメッセージ

痛みを弱さや甘えとして扱わず、立ち止まるための情報として受け取ります。

無理につながりやすい受け止め方

  • 痛くても続けることを褒める
  • 休むことを努力不足と決めつける
  • 「みんな同じ」と個人差を見ない
  • 先生に言えないまま我慢させる
  • 結果が出れば問題ないと考える

身体を守る受け止め方

  • 痛みを言えたことを認める
  • どこが、いつ、どう痛むかを聴く
  • 無理に続けず負荷を調整する
  • 指導者・保護者で情報を共有する
  • 必要に応じて医療へつなぐ
「痛いのに頑張ること」を褒めるのではなく、「痛みに気づけること」「身体を大切にできること」を認めます。身体は「これ以上は無理をしないでね」「少し休ませてね」というサインを出してくれています。
UNDERSTAND THE BODY

形を真似するだけでなく、「なぜ」を学べる教室へ

安心できるお教室には、ある共通点があります。それは、「なぜその動きが必要なのか」を、身体の仕組みに合わせて説明してくれることです。

例えば、バレエでとても大切なアン・ドゥ・オール。ただ形だけを真似して、無理に足先を外へ向けてしまうと、膝や足首に負担がかかってしまうことがあります。

一方で、股関節の使い方や身体のつながりを丁寧に伝えてくれる指導では、子どもたちは少しずつ、自分の身体を理解しながら成長していくことができます。

目指したいのは、「先生の言う通りにする」だけではなく、「自分の身体は今どうなっているかな?」と感じられること。それは、長く安全にバレエを続けるための大切な力です。
COMPARISON

「頑張ること」と「無理をすること」を分けて考える

見た目には似ていても、身体と心への影響は大きく異なります。

バレエで見分けたい8つの場面
場面無理につながる考え方安全な頑張り方
痛み痛くても止まらず続ける痛みを伝え、中止・調整・相談をする
休養休むと遅れる、負けると考える回復も上達に必要な時間と考える
柔軟強く押せば柔らかくなる年齢と身体に合う方法で少しずつ行う
アン・ドゥ・オール足先だけを限界まで外へ向ける股関節と全身のつながりを学ぶ
失敗できない自分を責め続ける課題を小さく分け、次の方法を考える
先生の評価褒められるために不調を隠す必要なことを伝えながら挑戦する
ペース周囲と同じ速さを求める一人ひとりの成長と状態を見守る
結果一時的な成果を最優先する長く健康に踊り続けられることを大切にする
WORDS AT HOME

「頑張って」に、こんな言葉を添えてみる

頑張ることを否定する必要はありません。結果だけでなく、身体の感覚や気持ちを話せる入口をつくります。

「頑張ってね」「楽しんできてね。無理していないかも教えてね」
「もう少し頑張ればできるよ」「どこまでなら安心してできそう?」
「痛くてもみんな練習しているよ」「痛みは大事なサインだよ。先生にも伝えよう」
「できた?」「今日は何が楽しかった?身体で気になるところはある?」
「無理してないかな?」
「楽しめているかな?」
その一言が、自分を守る力を育てます。
4 STEPS

レッスンの前後に親子で確認する4ステップ

問い詰めるのではなく、安心して話せる短い習慣をつくります。

1

出発前に見る

睡眠、食事、疲れ、痛み、気持ちをさりげなく確認します。

2

選択肢を伝える

痛い時は止まってよい、先生に言ってよいと伝えます。

3

結果以外を聴く

楽しかったこと、難しかったこと、身体の感覚を聴きます。

4

必要なら共有する

不調や不安が続く場合は記録し、指導者や専門家へ相談します。

子どもがすぐに話さなくても、急いで答えを求めません。「いつでも話していい」「味方でいる」と伝え続けることが、安心の土台になります。
保護者のためのバレエ安心プログラム掲載画像
8-POINT CHECK

見学で確認したい「安心して学べる空気」

  • レッスン前に身体を温める時間がある
  • 無理な柔軟や姿勢を強いていない
  • 動きの理由を身体の仕組みから説明する
  • 痛みや違和感を先生へ伝えられる
  • 一人ひとりのペースを見守っている
  • 休む・負荷を下げる選択が認められる
  • 子どもたちが緊張しすぎていない
  • 保護者が安全について質問できる

※一つの場面だけで教室全体を断定せず、繰り返しの様子、説明、子どもの反応を合わせて確認します。

TEN YEARS LATER

健康な身体は、ダンサーにとって何より大切な「楽器」

バレエは、自分の身体そのものを使って表現する芸術です。だからこそ、健康な身体は、ダンサーにとって何より大切な楽器です。

無理をして一時的に結果を出すことよりも、自分の身体を大切にしながら、長く踊り続けられること。それが10年後に、お子様が「バレエを通して、自分の身体を大切にすることを学べた」「頑張るだけじゃなく、自分を守ることも知れた」と振り返れる未来につながっていくのではないでしょうか。

安心という土台の上で、お子様の才能がのびのびと育っていきますように。「頑張って」という言葉の前に、身体と心の様子を見つめる視点を、そっと添えてみてください。
PARENTS PROGRAM

保護者のための「バレエ安心プログラム」

お子様の不調に気づくための学びと、現在のお教室を確認する判断基準を届けます。

01

不調に気づく

痛み、疲れ、食事、睡眠、気持ちの変化など、日常で見守りたいポイントを学びます。

02

教室を確認する

現在のお教室の「健康診断」となるチェックリストで、環境を具体的に見直します。

03

判断基準を持つ

身体・心・進路の視点から、迷った時に何を確認し、どこへ相談するかを整理します。

FAQ

子どもの頑張りと安全についてのよくある質問

声かけ、痛み、休養、アン・ドゥ・オール、教室見学について回答します。

Q1. 子どもに「頑張って」と言ってはいけないのですか?

いいえ。「頑張って」は応援したい気持ちから生まれる自然な言葉です。ただし、痛みや不調を我慢させる意味にならないよう、「無理していない?」「楽しめている?」という確認も添えることが大切です。

Q2. 子どもが「痛い」と言ったら、どう声をかければよいですか?

まず痛みを否定せず、どこが、いつから、どの動きで痛むのかを落ち着いて聴きます。無理に続けさせず、指導者へ共有し、痛みが続く場合は医療機関への相談を検討してください。

Q3. 休むと上達が遅れてしまいませんか?

成長期の身体では、休養も練習の一部です。痛みや強い疲労を抱えたまま続けるより、状態に合わせて休む、負荷を下げる、回復を待つことが、長く踊るための土台になります。

Q4. アン・ドゥ・オールは、足先を外に向ければよいですか?

足先だけを無理に外へ向けると、膝や足首へ負担がかかることがあります。股関節の使い方や身体全体のつながりを理解し、それぞれの身体に合う範囲で学ぶことが大切です。

Q5. 安心できるバレエ教室には、どんな特徴がありますか?

身体を温める時間があり、無理な柔軟や姿勢を強いず、痛みを伝えられ、一人ひとりのペースを見守り、動きの理由を身体の仕組みに合わせて説明してくれる教室です。

Q6. レッスン後、子どもへ何を聞けばよいですか?

結果だけでなく、「今日はどんなことが楽しかった?」「身体で気になるところはある?」「無理したことはなかった?」など、感情と身体感覚の両方を話せる質問がおすすめです。

Q7. 頑張りすぎているサインはありますか?

痛みや違和感を隠す、レッスン前に強く緊張する、失敗を極端に恐れる、休むことへ罪悪感を持つなどの変化が繰り返される場合は、本人の話を聴き、教室と相談します。

Q8. 保護者のためのバレエ安心プログラムでは何を学べますか?

お子様の不調に気づくための知識や、現在のお教室の環境を確認するチェックリストなど、保護者がお子様の身体・心・進路を守るための判断基準を学びます。

関連ページ

※本記事は教育目的の一般情報です。個別の怪我や心身の状態を診断するものではありません。痛みや不調が続く場合は、無理にレッスンを継続せず、指導者と共有し、必要に応じて医療機関等へご相談ください。

執筆:バレエ安全指導者資格®事務局

バレエの伝統と芸術性を尊重しながら、医学・心理・栄養・教育の知見を現場へつなぎ、子ども、保護者、先生が長く健やかに歩める教育を目指しています。

FOR PARENTS

「頑張って」の前に、子どもの身体と心を見つめる

お子様の不調に気づくための学びや、現在のお教室の健康診断となるチェックリストを通して、保護者としての判断基準を整えませんか。頑張る力と、自分を守る力の両方を育てるためのプログラムです。

© バレエ安全指導者資格®|この記事は2026年時点の情報に基づいています。
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