バレエ界におけ個人情報の保護と自衛

個人情報を守るために、国はいま何を伝えている?|バレエ教室の情報管理・2026年10月22日最新版
教育ライブラリ|国・行政の取り組みをバレエ業界へ

個人情報を守るために、
国はいま何を伝えている?2026年10月22日最新版|バレエ教室の名簿・写真・WordPress・情報漏えいへの備え

子どもの名前、連絡先、写真、けがや体調についての相談。バレエ教室は毎日、大切な情報を預かっています。2026年10月21日には、ホームページを動かすPHPの重大な問題2件に修正版が公開されました。同じ日、個人情報のルールを変える案について意見募集も始まっています。今守るべき決まりと、これから変わる決まりを分けて、教室でできることを紹介します。

執筆:バレエ安全指導者資格®事務局公的情報確認:2026年10月22日(PHP修正版公開後)
まず知っておきたいこと

バレエ教室にも、個人情報を守る大切な役割があります。

生徒の名前や連絡先を名簿にして、教室の仕事に使っている場合、小さなバレエ教室にも個人情報保護法が関係します。大きな会社だけの話ではありません。

国や行政からは、法律で守らなければならない決まりのほかに、事故を防ぐための注意点や事例も紹介されています。この記事では、必ず守るルールと安全のためにおすすめする対策を分けて説明します。

集める理由を考える。
見る人を決める。
必要がなくなった情報は、持ち続けない。

※「集めない・載せない・残さない」は、SDAが提案する考え方です。法律で保存が必要な書類や、子どもの安全を守るために必要な情報まで捨てるという意味ではありません。

2026年10月|国からのお知らせ

10月21日、ホームページの安全対策と個人情報の新しい動きがありました。

2026年10月22日までに発表された情報から、バレエ教室に関係の深いものを選びました。ホームページの安全対策から、もしものときの相談先まで紹介します。

10月21日|PHP開発元が修正版公開・IPAは事前注意喚起

PHPの安全上の大きな問題2件に、修正版が公開されました

PHPというホームページを動かす仕組みに、不正アクセスにつながるおそれのある重大な弱点が2件見つかりました。開発元は10月21日に修正版を公開し、PHP 8.5.12/8.4.27/8.3.36/8.2.35などへの更新を強くすすめています。対象の弱点には「CVE-2026-109618」「CVE-2026-109619」という番号が付いています。すでに更新されたかどうかは、ホームページの管理会社に確認しましょう。IPAの10月21日の注意喚起は、修正版が出る前の発表です。

PHP開発元のセキュリティ情報を見る ↗IPAの10月21日・事前注意喚起 ↗教室との関係:WordPressなどで利用するサーバーのPHPを、管理会社へ至急確認する
10月21日|個人情報保護委員会・意見募集

個人情報の細かなルールを変える案が出ています

個人情報の扱いに関する細かな決まりについて、国が変更案を公開し、意見を募集しています。締切は11月20日です。まだ検討中の内容なので、発表されたその日から新しい決まりが始まったわけではありません。

第373回委員会の資料を見る ↗教室との関係:現行のルールを守りながら、新しい制度の確定情報を確認する
10月16日|IPA・新しい相談窓口

不正アクセスが疑われるときの相談先ができました

ホームページなどへの不正な侵入が起きた、またはその疑いがある会社や団体が相談できる窓口です。最初に何をすればよいか、どこへ相談すればよいかを案内します。法律で決められた情報漏えいの報告先とは別の窓口です。

電話:03-6759-5760(平日9:30~17:30、12:00~13:00を除く)。メール相談も可能です。

IPAの公式発表を見る ↗教室との関係:実際に不正アクセスを疑う事象が起きた際の相談先候補
10月7日|個人情報保護委員会

大切な情報を漏らさないための注意

多くの人の情報が漏れた事故を受けて、国が情報を預かる事業者に注意を呼びかけました。10月9日には、内容を説明する動画も案内しています。

公式発表を見る ↗教室との関係:名簿などを管理する事業者として、現在の法律と安全管理を確認
10月9日|IPA

情報を預かる人たちに、安全の確認を呼びかけ

最近の不正アクセスを受けて、ホームページや管理用のアカウント、生徒の情報をどう守っているか、もう一度確認するよう呼びかけています。教室の運営者も知っておきたい内容です。

公式発表を見る ↗教室との関係:予約や決済を外部サービスに任せる場合も確認したい内容
10月8・9日|JPCERT/CC

不正アクセスの方法や見つける手掛かりを公開

国内で起きた不正アクセスについて、どのような形で攻撃が行われたか、調べるときの手掛かりを公表しています。ただし、すべての事故が同じ原因とは限りません。

公式発表を見る ↗教室との関係:システム担当者・委託先に点検を依頼する参考
10月13日|NICT

アプリを手掛かりに、裏側のコンピューターを狙う攻撃

スマートフォンのアプリから分かる情報を使い、その裏側にあるサーバー(情報を管理するコンピューター)を狙う手口が紹介されました。自分の教室が攻撃されたという知らせではありません。

公式発表を見る ↗教室との関係:自分の教室への攻撃が判明したという意味ではなく、委託先の管理を考える材料
ここが大切です。

ここで紹介した発表は、すべてのバレエ教室に特別な資格や決まったシステムの導入を求めるものではありません。まずは自分の教室で、どんな情報をどのように守っているかを確認するための資料です。

事故を防ぐための相談と、不正アクセスが起きたときの相談は違います。今回のIPAの特別窓口は、すでに被害が出ている、またはその疑いがある場合の相談先です。法律で必要になる報告も、別の手続で行います。

2026年10月22日現在|修正版公開後の重要情報

教室のホームページは大丈夫? PHPとWordPressの確認方法。

PHP(ピーエイチピー)は、ホームページやお申し込みフォームなどを裏側で動かす仕組みの一つです。WordPressもPHPを使っています。ただし、PHPを使っているだけで、情報が漏れたということではありません。問題が修正されているかを確認することが大切です。

いま必要なのは「更新を待つこと」ではなく「適用できたか確かめること」です。

更新されているか分からなければ、ホームページを作った会社や管理している会社、レンタルサーバー会社に確認しましょう。専門的な操作を自分でする必要はありません。

ホームページのことは、制作会社に任せている先生方へ

難しい言葉を知らなくても、確認できます。

教室の先生が、普段からパソコンを使ったり、ホームページの管理をしたりするとは限りません。制作や更新を会社にお願いしている場合、「PHP」「サーバー」「脆弱性(安全上の弱点)」と聞いても、すぐには分からないと思います。

先生自身がプログラムの細かい仕組みを覚える必要はありません。大事なのは、ホームページの安全を誰が確認し、誰が更新するのかを知っておくことです。

ホームページの制作会社や今の管理担当者に、「今回のPHPの問題について、私の教室のホームページも確認が必要でしょうか」と聞いてみてください。作る仕事と、その後の管理は別の契約になっている場合もあります。

今回は、すでに修正版が公開されています。「これから更新しますか」だけでなく、「必要な修正はもう完了していますか」と確認しましょう。古いPHPを使っている場合は、サーバー会社が別の方法で修正していることもあります。

2026年10月21日に公開済み重大な脆弱性2件に対し、PHP公式の修正版が公開されました

開発元は、今回の2つの弱点を深刻度9.2(CVSS v4.0)と発表しました。識別番号はCVE-2026-109618/CVE-2026-109619です。外部からホームページに接続されるPHP環境では、影響する可能性があります。必要な修正を適用することが重要です。ページが普通に表示されているだけでは、安全になったかどうかは分かりません。

PHP開発元が2026年10月21日に公開した修正版
利用中のPHP系列今回の修正版教室での確認先
PHP 8.58.5.12サーバー会社・保守担当者
PHP 8.48.4.27サーバー会社・保守担当者
PHP 8.38.3.36サーバー会社・保守担当者
PHP 8.28.2.35サーバー会社・保守担当者
PHP 8.1以前やレンタルサーバー固有のPHPを使っている場合

PHP 8.1以前には、開発元から通常の更新が出ません。ただし、サーバー会社などが、古いバージョン向けに必要な修正だけを提供する場合があります。バージョンの数字だけで判断せず、今回の2つの問題に対応済みかを聞いてください。PHP 8.2は2026年12月31日に公式サポートが終わる予定なので、次のバージョンへの移行も相談しましょう。

「WordPressを更新した」だけでは確認は終わりません。

WordPress本体や追加機能(プラグイン)、デザイン部分(テーマ)と、PHPは別々に更新される場合があります。WordPressを更新しただけで安心せず、PHPの修正と、更新後の表示・問い合わせ・申込みの動作も確認してもらいましょう。

PHP開発元の修正版案内 ↗ PHP公式ダウンロード情報 ↗

管理している会社に聞きたい5つのこと

次の5つは、ホームページの管理担当者に確かめたいことです。専門的な作業を先生自身で行うための説明ではありません。

01

PHPを使用しているか

WordPressでは、管理画面の「ツール → サイトヘルス → 情報 → サーバー」からPHPのバージョンを確認できます。分からない場合や管理画面に入れない場合は、管理会社に聞きましょう。

02

更新の担当者は誰か

レンタルサーバー会社や制作会社に、今回の問題への対応が必要か、すでに修正したか、誰が担当するかを確認します。一時的にサイトを止める予定があるかも聞いておきましょう。

03

バックアップと連絡手段

万が一サイトが動かなくなったとき、元に戻すためのバックアップ(データの控え)があるか確認しましょう。フォームが使えない間の電話やメールなど、別の連絡方法も決めておきます。

04

公式情報で修正版を確認

PHP開発元やサーバー会社の案内をもとに、今回の2つの問題に対応した修正を行ってもらいます。その後、ホームページが表示されるか、お申し込みやお問い合わせができるかを確認します。

05

WordPress本体とは別に確認

WordPressとPHPは、同じものではありません。WordPressや追加機能の更新とは別に、PHPにも必要な修正が入ったかを確認します。古いバージョンなら、今後の変更についても相談しましょう。

制作会社・管理会社に送れる確認文

何を聞けばよいか迷ったら、次の文をメールやLINEで送ってみてください。

いつもお世話になっております。

2026年10月21日、ホームページなどに使われるPHPで、安全上の重大な問題が2件修正されたと知りました。

当教室のホームページやお問い合わせ・お申し込みフォームは、今回の問題(CVE-2026-109618/CVE-2026-109619)への対応が済んでいますでしょうか。まだの場合は、誰がいつ対応するか、バックアップの有無、更新後にフォームが使えるかの確認方法も教えていただけますと幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

※ホームページを作った会社が、その後の管理まで引き受けているとは限りません。契約書や請求書を確認し、必要ならサーバー会社に問い合わせましょう。分からない設定を自分で変更するのは避けてください。

「緊急メンテナンス=情報漏えい」ではありません。

ホームページが一時的に使えなくても、情報が漏れたと決まったわけではありません。事故を防ぐために、作業中だけ止めていることもあります。被害があったかどうかは、運営会社の発表を確認しましょう。どのPHPのバージョンに影響があるかも、環境によって確認が必要です。

【管理担当者向けの補足】欧州のCERT-EUは、今回の2つの問題がPHP 5以降に影響する可能性を指摘しています。ただし、10月21日のIPAの事前注意喚起では、影響するバージョンの細かな範囲はまだ示されていませんでした。

法律として守ること

生徒が少ない教室にも、法律が関係します。

名簿を作ること、保護者へメールを送ること、月謝の記録を残すこと。身近な教室の仕事にも関係します。

たとえば、生徒の名前と連絡先を一覧表にして、レッスンのお知らせや月謝の管理に使っている場合です。名前などを探せる形で保存し、教室の運営に使っていれば、個人情報保護法が関係することがあります。

基本は、「何のために集めるかを決める」「説明した目的に沿って使う」「なくさない・勝手に見られないよう守る」ことです。本人からの問い合わせへの対応や、外部へ情報を渡す際の同意が必要になる場合もあります。事故が起きたときには、国への報告や本人へのお知らせが必要なこともあります。

人数だけでは判断できません。

情報が漏れた人数だけで、報告が必要かどうかは決まりません。少人数でも、不正アクセスによる事故や、特に慎重に扱うべき情報が含まれる事故などでは、報告や本人への連絡が必要になることがあります。

2026年10月時点で確認したい点

紙の名簿だけでなく、インターネット上の会員管理、メール配信、発表会の写真共有、月謝の決済なども確認しましょう。どんな情報をどこに預けているか、誰が管理しているかが大切です。

2026年の法改正

個人情報の法律が変わります。ただし、新しい決まりのすべてが始まったわけではありません。

個人情報保護法を見直す法律は、2026年7月10日に成立し、7月17日に公布(国が正式に知らせること)されました。16歳未満の子どもの情報の扱いに関する新しい決まりも含まれています。

ただし、2026年10月22日時点では、改正内容の多くがすでに使われているわけではありません。詳しい決まりや開始時期について、国が準備を進めています。10月14日には、実施に向けた考え方も追加で示されました。

さらに10月21日、個人情報保護委員会は個人情報保護法施行規則および特定個人情報の漏えい等報告に関する規則の一部改正案について意見募集を開始しました(11月20日まで)。これは現在公表されている改正案への意見募集であり、教室に新たな義務が即日課されたという意味ではありません。意見募集一覧 ↗

「改正された」ことと「もう適用されている」ことは別です。

16歳未満の子どもについての新しい決まりを、すべて始まっているルールとして説明しないようにしましょう。それでも、今の法律のもとでも、子どもの情報を大切に扱うことは必要です。

教室で今から考えられること

たとえば、写真や動画をどこに載せるのか説明する、子ども本人と保護者の気持ちを確かめる、使わなくなった情報を整理する。こうした見直しは、新しい決まりが始まる前から進められます。

個人情報保護委員会「令和8年 改正個人情報保護法について」 ↗

学校で起きている変化を知る

学校での事例から、バレエ教室が学べること。

個人情報保護委員会は2025年6月、学校で起きた情報の流出などを受けて、注意点をまとめました。学校では名簿や連絡先、成績、健康上の配慮など、多くの大切な情報を扱います。

学校とバレエ教室では、法律や運営の仕組みが同じではありません。ただ、先生同士で情報を共有したり、保護者へ一斉に連絡したり、写真を保管したりする点はよく似ています。

メールの宛先

保護者へ一斉にメールを送るとき、ほかの家庭のメールアドレスが見える状態になっていませんか。

共有する範囲

担当していない子どもの情報まで、すべての先生や外部講師が見られる状態になっていませんか。

持ち出しと保存

個人のスマートフォンやパソコン、USBメモリ、個人用のクラウドに、名簿や写真が残っていませんか。

対象の違い:この学校向け注意喚起そのものが、民間教室への新しい一律の義務を定めたわけではありません。SDAは、子どもを預かる別の教育現場がどのような危険を見直しているかを学ぶ資料として紹介しています。

学校向けの公式注意喚起を読む ↗

公表された具体例

大きな会社や自治体の事故も、教室の参考になります。

大きな組織で起きた情報事故にも、教室の運営に役立つ教訓があります。

さいたま市:防災情報の配信事業者への不正アクセス

さいたま市は2026年10月13日、防災情報をメールなどで知らせるサービスの提供会社が不正アクセスを受けたと発表しました。メールアドレス34,783件、氏名・電話番号73件が外部へ漏れた可能性があります。発表時点では調査中で、すべてが実際に流出したと確定したわけではありません。

教室で考えたいこと:メール配信や申込フォームを外部の会社に任せている場合も、情報の管理方法と、事故が起きたときの連絡先を確かめておきましょう。

さいたま市の発表 ↗

タイムズカー:本人確認書類の情報漏えいが確認

タイムズカーの運営会社は2026年9月29日、Webサービスへの不正アクセスを調査した結果、運転免許証の画像など、本人確認用の書類が漏れたアカウントは約160万件と発表しました。学生証の画像なども含まれていました。

教室で考えたいこと:住所や身分証明書、緊急連絡先などは、本当に必要かを考えて集め、いつまで保存するかも決めましょう。

事業者の公表を見る ↗
実際の被害と、発生する可能性がある被害は区別します。

なお、情報が漏れたことと、その情報が詐欺などに使われたことは別の話です。また、ここで紹介したのはバレエ教室で起きた事故ではありません。

バレエ教室に置き換える

教室は、どんな情報を預かっているでしょうか。

名前や電話番号のほかにも、教室には大切な情報があります。

入会・連絡

名前、年齢、電話番号、メールアドレス、保護者の名前、入会の記録、月謝の支払い記録など。

指導と健康への配慮

けが、体調、薬の使用についての相談、欠席の理由、先生への相談内容など。特に慎重に管理したい情報です。

活動・公開

顔が分かる写真、発表会の動画、コンクールの結果、所属教室、出演予定、レッスンの日時など。

健康に関係する情報が、すべて法律上の「要配慮個人情報」(特に配慮が必要な個人情報)になるわけではありません。ただし、病歴などは法律上の扱いが異なる場合があります。必要な情報か、どう守るかを確認しましょう。

SDAからの提案:情報を「緊急時に必要」「指導に必要」「広報に使いたい」に分けてみましょう。広報のための情報は、本人・保護者の選択の余地を確保し、必要以上に記録を集めない運用が役立ちます。
情報を集める理由を考える

個人情報は、なぜ集められるのでしょうか。

体験レッスンや発表会の申込みでは、連絡や安全のために情報が必要です。参加した講座などの記録が、次の案内やサービスの改善に使われることもあります。

情報を使うこと自体が問題なのではありません。何のために使うかを説明しないまま、必要以上に集めたり、約束と違う目的に使ったりすることが問題になります。

取得

申込みを受け付ける

連絡や安全のため、本当に必要な情報を集める。

管理

情報を預かる

どこに保存するか、誰が見られるかを決める。

利用・削除

目的の範囲で使う

使う目的が終わったら、保存が必要かを確認して整理する。

「この情報は何のために必要なのですか」と聞かれたとき、教室が分かりやすく説明できることが大切です。

保護者が聞いてよい5つのこと

  1. その情報は、なぜ必要ですか。
  2. どの目的に使いますか。
  3. 誰が見ることができますか。
  4. いつまで保存しますか。
  5. 公開や宣伝への利用を断れますか。

これはSDAが考えた質問の例です。法律ですべての質問への答え方が細かく決められているという意味ではありません。

写真・名簿・外部サービス

教室の日常で、見直せること。

難しいパソコンの設定だけが、個人情報を守る方法ではありません。毎日の仕事にもできることがあります。

写真・動画の公開を分ける

レッスンの記録として撮ること、保護者だけに見せること、SNSに公開すること、広告に使うことは別々の目的です。顔のほか、名前や教室名、時間などから誰か分かってしまわないかも確認しましょう。

名簿を見る人を決める

教室の代表、担当の先生、外部講師などのうち、誰がどの名簿を見る必要があるかを決めましょう。教室を離れた先生が、今も情報を見られる設定になっていないかも確認します。

発表会やコンクールの申込みを見直す

学校名や住所、生年月日などを申込書に書いてもらうときは、なぜ必要かを考えましょう。結果の発表に使う情報と、緊急連絡用の情報は分けて管理します。

外部のサービスの管理方法を確認する

予約や支払い、写真の保存、メール配信などを外部のサービスに任せる場合も、誰が情報を見られるか、どこに保存されるか、事故が起きたらどう連絡するかを確かめましょう。法律上、外部への委託と第三者への情報提供では扱いが違う場合があります。

AIサービスへの入力を見直す

生徒の名前や顔写真、けがや体調の相談を、そのまま外部のAIサービスに入力しないよう注意しましょう。仕事で使う場合は、入力した情報が保存されたり、AIの学習に使われたり、ほかの会社に送られたりしないか、利用条件を確認します。本人や保護者の意思も大切です。

写真共有リンクと公開範囲を確かめる

「限定公開」と書かれていても、URLを知っていれば誰でも見られることがあります。保護者向けの共有とSNSへの公開は分け、誰が見られるか、いつまで公開するか、削除を頼むにはどうするかを決めましょう。

教室の運営者ができる対策

まずはログイン方法と情報の共有、ホームページの更新を確認しましょう。

1

ログインを強くする

教室のメール、会員管理、SNSなどには、パスワード以外でも本人確認をする「多要素認証」や、対応サービスなら「パスキー」を設定しましょう。

2

担当者ごとに権限を分ける

みんなで同じログインIDを使い続けず、必要な人だけが生徒の情報を見られるようにしましょう。

3

復旧できる備えを持つ

何かあったときにデータを戻せるよう、バックアップ(データの控え)を取っておきましょう。管理会社の連絡先もまとめておきます。

4

使っているサービスを一覧にする

ホームページ、申込フォーム、メール配信、オンライン保存、決済、SNSなど、教室で使うサービスを書き出します。それぞれ誰が管理し、どんな情報を保存しているか確認しましょう。IPAも、利用しているサービスや不審なログイン記録を確認するよう呼びかけています。

5

更新と不要データの整理をする

教室が管理しているホームページやアプリには、必要な安全のための更新を行いましょう。今回のPHPの問題への修正が済んでいるかも、WordPressとは別に確認します。使わなくなった名簿や公開しなくてよいファイルは、法律などで保存が必要か確かめてから整理しましょう。

行政の注意喚起を参考にしたSDAの運用提案です。

すべての教室が同じソフトを買ったり、新しい技術を導入したりする必要があるという話ではありません。まずは使っているサービスと管理する人を確認するところから始めましょう。

保護者・生徒の自衛

生徒や保護者も、確認できることがあります。

  • 体験やイベントの申込みでは、必須項目と任意項目を見分ける。
  • 教室やコンクールの写真掲載について、どこまで公開されるのか尋ねる。
  • メール・SNSなどで同じパスワードを使い回さない。
  • 対応しているサービスでは、多要素認証やパスキーを利用する。
  • 不審なログイン通知や怪しいメールは、記載されたリンクをすぐ押さず公式窓口で確認する。
  • 子どもが掲載を望まないとき、保護者もその気持ちに耳を傾ける。

写真や動画は、一度インターネットに公開すると、ほかの人が保存したり広めたりすることがあります。今だけでなく、将来その子が見たときにどう感じるかも考えたいものです。

疑いが生じたときの最初の対応

もしも生徒の情報が漏れたかもしれないときは。

1

これ以上広がらないようにする

まず、情報がこれ以上外へ出ないようにします。誰でも見られる設定を変えるなど、管理会社や専門家にすぐ相談しましょう。調査に必要な記録を消さないよう注意が必要です。

2

何が起きたか、記録を残す

いつ何が起きたか、どんな情報が関係するか、何を対応したかを記録します。後から原因を調べられるよう、大切な記録は勝手に消さないようにしましょう。

3

国への報告と本人へのお知らせが必要か確認する

国への報告や、情報の持ち主への連絡が必要な事故かどうかを確認します。病歴など特に慎重に扱う情報や、不正アクセスによる事故などは、少人数でも報告が必要な場合があります。迷うときは専門家に相談しましょう。

4

本人に、分かったことと必要な対応を伝える

本人への連絡が必要な場合は、分かった事実と取ってほしい対応を伝えます。まだ分からないことは「調査中」と書き、推測を事実のように伝えないことが大切です。

報告期限の目安は「速報3~5日以内」、確報は原則30日以内です。

法律で報告が必要な事故では、個人情報保護委員会が、発覚後おおむね3~5日以内の最初の報告を案内しています。詳しい内容をまとめた報告は原則30日以内で、不正な目的による事故のおそれがある場合は60日以内です。すべての事故がこの手続の対象になるわけではありません。

報告が必要になる例として、特に慎重に扱うべき個人情報の流出、金銭的な被害のおそれ、不正な目的が疑われる流出、本人が1,000人を超える流出などがあります。それぞれ法律上の条件があり、少人数でも報告が必要な場合があります。

すべての事故で同じ法的手続になるわけではありません。

国への報告や本人への連絡が必要か、いつまでに何をするかは、事故の内容によって変わります。個人情報保護委員会の公式案内を確認しましょう。

2026年10月の追加情報:相談と法定報告の窓口を混同しないでください。

10月16日にできたIPAの「不正アクセス特別相談窓口」は、被害が起きた、または疑いがあるときに、最初の対応を相談する場所です。一方、法律で必要な情報漏えいの報告は、個人情報保護委員会など決められた窓口に出します。10月1日からは、一部のサイバー攻撃の報告に使う共通の書式も案内されています。該当するかどうかは公式情報で確認してください。

IPAの特別相談窓口 ↗/個人情報保護委員会の報告案内 ↗

個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」 ↗

教室のための自主確認

教室で確認したい16のチェック項目

国などの資料を参考に、SDAがバレエ教室で確認しやすい形にまとめました。法律の条文をそのまま並べたものではありません。

  1. 申込書に書いてもらう情報は、なぜ必要か説明できる
  2. 集めた情報を何に使うか、生徒や保護者が確認できる
  3. 名簿や連絡先を見られる先生・スタッフを決めている
  4. メールやSNSなどの管理画面には、二段階などの本人確認を設定している
  5. 辞めたスタッフが情報を見られないようにしている
  6. 一斉メールで、ほかの家庭のアドレスが見えないようにしている
  7. 写真を撮ることと、SNSに載せることを分けて確認している
  8. けがや体調、相談内容の記録を安全な場所に保存している
  9. 外部の申込フォーム、決済、保存サービスを誰が管理しているか知っている
  10. 情報をいつまで残すか、不要になったときどう消すかを決めている
  11. 情報が漏れたとき、誰に連絡して何をするか決めている
  12. 年に一度など、情報の管理を見直している
  13. AIに生徒の名前・写真・健康情報を入力する前に、安全かどうか確かめている
  14. 知らない人のログインや、勝手な設定変更に気づくための確認方法がある
  15. ホームページの管理者を知っていて、今回のPHPの問題への対応を確認できる
  16. ホームページやフォームが止まったときの別の連絡方法を用意している
小さな教室でも、一つずつ始められます。

まずは「生徒の情報を、どのサービスに保存しているか」を紙に書き出すだけでも、見直す場所が分かってきます。

よくある質問

よくある疑問にお答えします。

ホームページの管理を会社に任せています。何を確認すればよいですか?

制作会社や今の管理担当者に、今回のPHPの問題への修正が済んでいるか、誰が更新を担当するかを聞きましょう。自分で難しい設定を変える必要はありません。制作だけを頼んでいて、その後の管理は別契約の場合もあります。担当者が分からなければ、契約書や請求書、サーバー利用料の支払先を確認してください。記事内には問い合わせ文の例もあります。

WordPressで作ったホームページも確認が必要ですか?

はい。WordPressはPHPで動いています。2026年10月21日にPHPの重大な問題2件の修正版が出ました。WordPressを更新しただけではPHPまで直っていない場合もあります。サーバー会社や管理担当者に確認しましょう。

PHPの修正版が出たら、教室は何をすればよいですか?

今回公開された修正版はPHP 8.5.12、8.4.27、8.3.36、8.2.35です。まず管理会社に、今回の2つの問題への対応が完了しているか確認しましょう。古いバージョンには、サーバー会社が別の修正を提供している場合もあります。更新後にお申し込みフォームが動くか、バックアップがあるかも確認してください。

ホームページが普通に見られるなら、安全ですか?

そうとは限りません。いつもどおり表示されていても、安全上の弱点が残っていることがあります。修正が済んだかどうかは、管理会社に確認しましょう。

PHPの更新は、サーバー会社が自動でしてくれますか?

契約によって違います。自動で更新されるプランもあれば、自分で手続が必要なプランもあります。WordPressの自動更新とPHPの更新は別なので、サーバー会社の案内を確認しましょう。

サイトがメンテナンス中なら、情報が漏れたということですか?

いいえ。事故を防ぐための点検や更新で、一時的にサイトを止めることもあります。実際に何が起きたかは、運営会社からのお知らせを確認してください。

生徒が少ない教室にも、個人情報保護法は関係しますか?

はい。生徒の名前や連絡先などを、探せる名簿にして教室の運営に使っている場合は、教室が小さくても法律が関係します。規模に合った方法で情報を守ることが大切です。

入会申込書には、学校名や住所を必ず書いてもらいますか?

すべての教室に、同じ項目を書いてもらう決まりがあるわけではありません。連絡や安全のために何が必要かを考え、必要な情報だけを集めましょう。

撮った写真は、そのままSNSに載せてもよいですか?

撮影することと、SNSで公開することは別です。誰の写真か分かる場合は個人情報になることがあります。どこに公開するか、名前を付けるか、削除の相談ができるかを説明し、本人や必要に応じて保護者の意思も確かめましょう。

外部の申込フォームを使えば、情報の管理を任せきりにできますか?

いいえ。外部のサービスを使っていても、教室が確認すべきことはあります。誰が情報を見られるか、事故の際にどう連絡するかなどを確認しましょう。法律上の責任の分け方は、契約や情報の扱いによって異なります。

生徒が10人ほどでも、情報漏えいを報告する必要がありますか?

必要になる場合があります。報告の要否は人数だけでは決まりません。不正アクセスによる流出や、病歴など特に慎重に扱うべき情報が含まれる事故では、少人数でも報告が必要なことがあります。

学校向けの注意喚起は、バレエ教室にもそのまま当てはまりますか?

そのまま新しい法律上の義務になるわけではありません。ただし、名簿を間違った相手に送らないことや、情報を共有する人を決めることなど、教室でも役立つ内容があります。

2026年7月の法改正は、もう全部始まっていますか?

いいえ。法律は2026年7月17日に公布されましたが、10月22日時点では、主な改正内容の詳しい決まりや開始時期の準備が続いています。10月21日には別の細かな規則の変更案も公開され、意見が募集されています。今の決まりと、これから変わる決まりを分けて確認しましょう。

情報が漏れたかもしれないとき、最初に何をしますか?

まず、これ以上情報が外へ出ないようにし、管理会社や専門家に相談しましょう。いつ何が起きたかを記録し、調査に必要なデータを勝手に消さないようにします。そのうえで、国への報告や本人への連絡が必要かを確認してください。

IPAの不正アクセス特別相談窓口は、教室も使えますか?

不正アクセスの被害が起きた、またはその疑いがある場合は、教室も相談の対象になり得ます。日ごろの予防相談や、法律上の情報漏えいの報告とは別の窓口です。

生徒の写真や相談内容をAIに入力してもよいですか?

誰の情報か分かる写真や名前、けが・体調の相談内容を、そのまま外部のAIに送るのは避けましょう。使う必要がある場合は、保存や学習への利用、第三者への提供の条件を確認し、本人や保護者の意思にも配慮してください。名前を消しても、ほかの情報から誰か分かることがあります。

一次資料へのリンク

国や開発元の公式資料

この記事のもとになった国・行政・開発元の資料です。新しい発表や詳しい決まりを確認するときは、こちらの公式情報をご覧ください。

  1. IPA|2026年10月21日・PHP修正版公開前の事前注意喚起 ↗
  2. PHP開発元|2026年10月21日・重大な脆弱性2件の修正版とセキュリティ勧告 ↗
  3. PHP開発元|修正版のダウンロードとバージョン一覧 ↗
  4. WordPress公式|サイトヘルスとPHPの情報確認 ↗
  5. 個人情報保護委員会|2026年10月21日・第373回委員会 ↗
  6. 個人情報保護委員会|2026年10月21日開始の意見募集 ↗
  7. IPA|2026年10月16日・不正アクセス特別相談窓口の開設 ↗
  8. 個人情報保護委員会|2026年10月7日の注意喚起(10月9日に解説動画追加) ↗
  9. IPA|2026年10月9日の不正アクセス対策の注意喚起 ↗
  10. NICT|2026年10月13日のA2B攻撃に関する分析・注意喚起 ↗
  11. JPCERT/CC|国内組織の不正アクセスに関する注意喚起(10月8日・9日更新) ↗
  12. 個人情報保護委員会|令和8年改正個人情報保護法(10月14日資料更新) ↗
  13. 個人情報保護委員会|個人情報保護法ガイドライン(通則編) ↗
  14. 個人情報保護委員会|中小企業・小規模事業者向け基本チェックリスト ↗
  15. 個人情報保護委員会|漏えい等報告・本人通知 ↗
  16. 個人情報保護委員会|学校向けの漏えい等注意喚起(2025年6月) ↗
  17. さいたま市|2026年10月13日の不正アクセスと漏えいの可能性の公表 ↗
  18. 個人情報保護委員会|漏えい等発生時の対応資料 ↗
  19. 個人情報保護委員会|相談窓口 ↗
  20. パーク24|2026年9月29日の不正アクセス調査結果(第3報) ↗
おわりに

子どもたちの今と未来のために、情報を守る。

国は、情報が漏れたあとの対応だけでなく、事故を起こさないための管理や、子どもの権利を守る取り組みを進めています。バレエ教室にも、子どもの大切な情報を預かる責任があります。できることから、一つずつ見直していきましょう。

集めない。載せない。残さない。必要な情報を使わないという意味ではありません。「なぜ必要か」「誰が見るか」「いつまで残すか」を説明できるようにしておく、という考え方です。

※この記事は2026年10月22日までの公的資料とPHP開発元の発表をもとにしています。PHPの修正版は10月21日に公開されましたが、すべてのホームページで更新が済んだとは限りません。被害の有無も、サイトごとに確認が必要です。法律で守る必要のあることと、SDAがすすめる取り組みは分けて紹介しています。個別の判断が必要な場合は、管理会社、個人情報保護委員会、専門家などへ相談してください。

SDA

バレエ安全指導者資格®事務局

国や行政の取り組みを、全国のバレエ・新体操をはじめとする芸術スポーツの現場へ。制度の対象と日々の実践を区別して伝えます。

SAFE DANCE ASSOCIATION / バレエ安全指導者資格®

最終確認:2026年10月22日(PHPの修正版公開後)

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