あなたが学ぶことは、未来の生徒にも届いていく。

あなたが学ぶことは、未来の生徒にも届いていく|バレエ安全指導者資格
BALLET EDUCATION / ESSAY

あなたが学ぶことは、
未来の生徒にも届いていく。

あなたはこれまで、 何人の生徒を見てきましたか。
そして、これから何人の生徒と 出会っていくでしょうか。

一人の先生が今日学ぶことは、 その先生一人の中だけには留まりません。

執筆:バレエ安全指導者資格®事務局

100人かもしれません。

1000人かもしれません。

長く指導を続けていけば、 それ以上の生徒と出会う先生もいるでしょう。

少しだけ、その一人ひとりの顔を 思い浮かべてみてください。

今、目の前で一生懸命に踊っている子。

なかなかできなくて悩んでいる子。

いつも楽しそうにスタジオへ来る子。

最近少し元気がない子。

そして、まだ出会っていない、 これから教室へやってくる子どもたち。

もうひとつ、想像してみてください。

その子たちは、あなたの教室で出会ったものを携えて、 その後どんな人生を歩んでいくでしょうか。

プロのダンサーになる子もいるでしょう。

バレエとはまったく違う仕事に就く子もいるでしょう。

大人になっても踊り続ける人もいれば、 いつかバレエから離れていく人もいるでしょう。

それでいいのだと思います。

バレエ教室は、 バレエの世界で生きていく人だけを 育てる場所ではないからです。

先生が教えているものは、 バレエの技術だけなのでしょうか。 身体、健康、安全、芸術、文化、 そしてまだ知らない世界との出会い。 一人の先生が学ぶことの先にあるものを考えてみます。
WHAT REMAINS

教室を卒業しても、
そこで出会ったものは残っていく

子どもたちは、とても長い時間を バレエ教室で過ごします。

幼稚園の頃に出会った子が小学生になり、 中学生になり、高校生になる。

身体が変わります。 心も変わります。

興味を持つものも、悩むことも、 自分自身についての考え方も変わっていきます。

その成長のそばに、先生はいます。

教室で出会うもの

レッスンで教えたこと。

何気なくかけた言葉。

できなかったときに、どう接したか。

できるようになったときに、どう喜んだか。

身体について、どんな言葉で伝えたか。

努力すること。失敗すること。

誰かと一緒に何かをつくること。

音楽を聴くこと。美しいものに触れること。

そうした経験のすべてが、 目に見える成果になるわけではありません。

コンクールの順位や舞台で踊った役のように、 形として残らないものの方が多いかもしれません。

けれど何年も経ってから、ふとした瞬間に、 その人の考え方や行動の中に 現れることがあります。

バレエ教室は、踊り方を習う場所であると同時に、
一人の人間が育っていく時間の一部を預かる場所でもある。

そう考えると、 バレエ教師という仕事が持つ可能性と責任も、 少し違って見えてきます。

PROFESSIONALISM

先生がすべてを知っている必要はありません

「一人の人間が育つ時間の一部を預かる」 と言われると、 少し重たく感じる先生も いらっしゃるかもしれません。

もちろん、生徒の人生すべてに 先生が責任を持つわけではありません。

先生も一人の人間です。

知らないことがあります。 迷うことがあります。 間違えることもあります。

すべての生徒に、 いつでも正しい答えを出せる人など いないでしょう。

教師の専門性は、
「何でも知っていること」ではありません。

何を知っていて、何を知らないのか。

自分で判断できることと、 専門家へつなぐべきことは何か。

分からなければ調べる。

必要なら学ぶ。

一人で判断しない方がよければ、 誰かに相談する。

専門的な判断が必要なら、 専門家につなぐ。

QUESTION

すべてを知ることではなく、
「自分はここで、何を見て、 何を判断すべきだろう」
と考えられることも、 教師の専門性なのではないでしょうか。

KNOWLEDGE CHANGES WHAT WE SEE

知ることで、初めて見えるものがあります

先生の一日は、 小さな判断の連続です。

  • このストレッチは、 今この生徒に行ってよいのだろうか
  • 「膝が痛い」と言われたら、 何を確認すればよいのだろう
  • 成長期の身体には、 どの程度の負荷が適切なのだろう
  • 体重や食事について相談されたら
  • 生理について相談されたら
  • 気持ちが落ち込んでいる生徒がいたら

先生が医師や理学療法士、 栄養士、心理職になる必要はありません。

けれど、少し知っていることで、

「これは、いつものこととして
済ませない方がいいかもしれない」

と気づけることがあります。

そして、 「ここから先は、 教師だけで判断しない方がいい」 と考えられることがあります。

知識とは、すべての答えを持つためだけではなく、
何を見るかを変えるもの。

知らなければ見過ごしてしまうことに、 気づけるようになる。

それも、教師が学ぶ大きな意味の一つです。

A DIFFERENT WAY OF SEEING

「できない」の見え方も、
学ぶことで変わっていく

生徒が、ある動きをできなかったとします。

「もっと膝を伸ばして」

「もっとターンアウトして」

「もっと頑張って」

先生自身がそう教わり、 それによって上達してきたのであれば、 同じように伝えたくなるのは自然なことです。

その経験を否定する必要はありません。

これまで培ってきた経験は、 教師にとって大切な財産です。

そこへ、ほんの少し新しい問いを加えてみる。

QUESTION

なぜ、この生徒はできないのだろう。

身体の構造はどうだろう。

可動域や筋力はどうだろう。

まだ成長の途中ではないだろうか。

疲れてはいないだろうか。 どこかに痛みはないだろうか。

怖さを感じてはいないだろうか。

すると、 「できない」という同じ出来事が、 少し違って見えてくることがあります。

「もっと頑張って」と伝える前に、 確認できることが増えていきます。

経験を捨てるのではなく、
経験に、新しい見方を増やしていく。

身体も、年齢も、経験も、目的も、 その日のコンディションも違います。

だからこそ、一つの「正解」を覚えるだけではなく、 目の前の生徒を見て考える。

何を見るのか。 何を確認するのか。 どの知識を使うのか。

どこまで教師が考え、 どこから専門家へつなぐのか。

教師が学ぶ目的は、
正解をたくさん覚えることではなく、
よりよい判断ができる自分になっていくこと。
FROM BALLET TO THE WORLD

バレエから、
子どもの世界を広げる

ここまでは身体や健康、 安全について考えてきました。

でも、バレエ教室が子どもへ渡せるものは、 それだけではありません。

あなたが暮らしている地域には、 美術館や劇場、 コンサートホールがあるでしょうか。

子どもたちが舞台芸術や美術、 音楽、文学、歴史などに 自然に触れられる機会は どのくらいあるでしょうか。

地域によっては、 芸術や文化への入り口が それほど多くないところもあると思います。

地域にある一つのバレエ教室が、
子どもと文化をつなぐ入り口になることもできる。

たとえば、『白鳥の湖』を踊る。

そこからチャイコフスキーを知る。

音楽から作曲家へ。

衣裳から服飾やデザインへ。

舞台美術から絵画や建築へ。

作品が生まれた国から地理へ。 時代から歴史へ。

QUESTION

「その時代の人たちは、 どんな社会で暮らしていたのだろう」

「なぜ、この作品は この時代に生まれたのだろう」

一つのバレエ作品の中にも、 音楽、美術、衣裳、歴史、社会、 言葉、さまざまな国や文化があります。

そして、そこに生きた人たちがいます。

バレエは、
それらすべてにつながる入り口になれます。

もちろん、 先生が美術史家や音楽学者、 歴史学者になる必要はありません。

「先生も知らないから、 一緒に調べてみよう」

でもいいのだと思います。

  • 図書館へ行ってみる
  • 美術館を紹介してみる
  • 音楽を聴き比べてみる
  • 専門家を教室へ招いてみる
  • 地域の文化施設とつながってみる
  • 子ども自身に調べてもらう

教師の役割を、 「すべてを教える人」 から、

「子どもと世界が出会うきっかけをつくる人」

へ少し広げてみる。

プロのダンサーにならなくてもいい。

バレエ教師にならなくてもいい。

いつかバレエを辞めてもいい。

それでも、 そこで出会った世界は、 その子のものとして残ります。

先生がすべての答えを渡さなくても、
問いを一つ渡すことはできます。

その問いから、 子ども自身が世界を広げていくことがあります。

PROFESSIONAL IDENTITY

バレエ教師という仕事を、
もう少し広く考えてみる

バレエ教師は、 踊り方を教える専門家です。

その専門性は、 これからも大切です。

でも、それだけで終わらせなくても いいのではないでしょうか。

身体について考える。

健康や安全について学ぶ。

音楽を聴く。

芸術や歴史、 異なる文化に触れる。

疑問を持ち、調べ、考える。

そして、そこで出会ったものを 子どもたちへ手渡していく。

バレエ教師とは、技術を伝える人であると同時に、
身体・健康・芸術・文化を通じて、
子どもの世界を広げる教育者でもある。

そんな職業として、 もう少し広く捉えることも できるのではないでしょうか。

もちろん、 それは「先生なら何でも知っていなければならない」 という意味ではありません。

むしろ、学ぶほどに、 自分が知らないことも見えてきます。

どこまで自分で考えるのか。

どこから誰かの力を借りるのか。

知らないことを調べる。

必要なら専門家へ相談する。

そして、新しく知ったことを、 また教室へ持ち帰る。

すべてを知っていることではなく、
必要なときに学び、考え、つながれること。

それも、これからのバレエ教師の 専門性の一つだと私たちは考えています。

LEARNING INTO PRACTICE

先生の学びは、
教室の中で生きていく

先生が身体について学べば、 生徒を見る視点が少し増えます。

健康について学べば、 これまで気づかなかった変化に 気づけることがあります。

歴史や芸術について学べば、 一つの作品から 子どもたちへ渡せる世界が広がります。

学んだことは、 先生の知識として蓄積されるだけではありません。

次のレッスンから、 少しずつ教室の中に現れていきます。

言葉の選び方が変わる。

生徒を見る視点が変わる。

何かあったときの判断が変わる。

子どもへ投げかける問いが変わる。

先生が変われば、
教室で子どもが出会えるものも少しずつ変わっていきます。

だから、教師が学ぶということは、 資格や知識を自分のために 増やすことだけではないのだと思います。

それは、 教室という場所を少しずつ豊かにしていくことでもあります。

THE FUTURE OF BALLET IN JAPAN

日本のバレエの未来をつくっているのは、
誰でしょうか。

日本のバレエの未来というと、 大きなバレエ団や大きな舞台を 思い浮かべるかもしれません。

多くの人に知られるダンサーや先生の存在も、 もちろん大切です。

でも、日本のバレエの未来を、 どこか一つのバレエ団や舞台、 誰か一人の有名な人だけが 担っているわけではないと思います。

日本のバレエの未来をつくっているのは、
全国それぞれの地域で、
生徒と向き合い続けている先生方です。

北海道から沖縄まで。

大きな都市にも、 小さな町にも。

それぞれの地域で教室を開き、 毎週生徒を迎え、 バレエを伝えている先生がいます。

一つの教室で、 何十人、何百人という子どもたちが バレエと出会う。

そして、 そんな教室が全国にあります。

日本のバレエの未来は、
どこか一か所でつくられているものではありません。

全国それぞれの地域で 生徒と向き合っている先生一人ひとりが、 それぞれの場所から、 みんなでつくっているものなのだと思います。

だからこそ、 私たちは先生方を支えたいと考えています。

先生自身が、安全に教え続けられること。

健康でいられること。

必要な知識を学べること。

迷ったときに相談できること。

一人では判断できないことを、 医療や研究、教育、芸術、文化などの 専門家へつなげられること。

先生を支えることは、 その先生一人だけを 支えることではありません。

その先にいる、
子どもたちを支えることにつながっているからです。

A PLACE WHERE CHILDREN MEET THE WORLD

バレエ教室を、
子どもと世界が出会う場所へ

私たちが目指したいのは、 先生が何でも知っている世界ではありません。

完璧な先生を増やすことでもありません。

目の前の生徒について考える。

分からないことがあれば学ぶ。

必要なら誰かに相談する。

そして、自分が学んだものを、 また子どもたちへ返していく。

そんなことが自然に行われる バレエの世界です。

その積み重ねによって、 バレエ教室は、 踊り方を学ぶだけの場所から、 もう少し広い場所になっていくのではないでしょうか。

身体を知る場所。

健康について考える場所。

音楽や芸術に触れる場所。

歴史や文化を知る場所。

知らなかった世界に興味を持つ場所。

そして、自分で問い、考えることを知る場所。

バレエ教室を、
子どもと世界が出会う場所へ。

一人の先生が学ぶ。

その学びが、 一つの教室を少し変える。

そこで育った子どもたちが、 それぞれの世界へ歩いていく。

全国の教室で、 そんな小さな循環が生まれていく。

私たちは、その循環を 先生方と一緒につくっていきたいと思います。

全国の先生方、一人ひとりの安全と健康を守り、
学びを支え、必要な知識を届けていく。

その先にいる、子どもたちのために。

身体・健康・安全・教育・文化を横断しながら、 これからのバレエ指導と バレエ教室の役割について考えています。

LEARN FOR YOUR STUDENTS

今日の学びを、明日の生徒へ。

バレエ安全指導者資格®では、 解剖学、整形外科学、生体力学、栄養学、 心理学、指導法などを横断しながら、 目の前の生徒を見て、考え、判断するための 土台を学びます。

学んだことを、 次のレッスンから教室へ。

バレエ安全指導者資格
運営: Safe Dance Association(セーフダンスアソシエーション)
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