「こども・若者の居場所づくり」から、バレエの先生が社会の考え方を知る。

「子どもの居場所」は、子どもが決める。|こども家庭庁の施策とバレエ教室が学べること|バレエ安全指導者資格®
教育ライブラリ|国や行政の取り組みをバレエ業界へ

「子どもの居場所」は、
子どもが決める。こども家庭庁の居場所づくり指針と2026年度の取り組みから、地域のバレエ教室が学べること。

学校や家庭だけでなく、地域にあるさまざまな活動が子どもを支える時代へ。こども家庭庁は、本人の声を大切にする「居場所づくり」を進めています。バレエ・新体操の指導者も、この取り組みから子どもとの関わり方や地域での役割を考えることができます。

「ここは安心できる」と感じるのは子ども自身。
教室の価値を、子どもの視点から考えてみませんか。
執筆:バレエ安全指導者資格®事務局公的資料確認:2026年10月15日指針決定:2023年12月22日
国の取り組みをバレエ業界へ

「子どもにとっての居場所」を、社会全体で考える取り組みです。

こども家庭庁は、子ども・若者が安心して過ごせる場所や人とのつながりを増やすため、「こどもの居場所づくりに関する指針」をもとに、自治体や地域団体の活動を支援しています。

この指針が大切にするのは、「ここが自分の居場所だ」と感じるかどうかは、子ども本人が決めるという考え方です。学校や児童館だけでなく、塾や習い事も、子どもにとって居場所となる場合があると示されています。

国が示したこと子どもの声を
出発点に
2023年12月基本的な指針
を決定
2026年度地域の支援を
継続
教室で考えること上達だけでなく
安心も見る
こども家庭庁の取り組み

2023年、国は「居場所づくりの指針」を決めました。

子どもが安心して過ごせる環境を、地域全体で支えるための政策です。

こども家庭庁は2023年12月22日、「こどもの居場所づくりに関する指針」を閣議決定しました。閣議決定とは、国の政策として政府が考え方を正式に決めることです。

背景には、地域のつながりの変化や、子どもを取り巻く悩み・生活上の問題の複雑化があります。家庭や学校は大切な場所ですが、そこでの人間関係が難しくなったときも、別の人や活動とのつながりを持てることが重要です。

国が目指すのは、施設の数を増やすことだけではありません。子どもが自分で選べる多様な場所や時間、人との関係を、地域の力で育てていくことです。

子どもの活動機会を、学校と家庭だけに任せない。
地域のさまざまな大人と場所が、子どもの成長を支える。
これは行政の政策上の指針です。 すべての民間教室へ新しい法令上の義務を直接課すものではありません。一方で、営利の習い事も子どもの居場所になり得ると書かれており、教室にも共有する意味があります。

根拠:{link(links[‘policy’],’こどもの居場所づくりに関する指針(本文)’)}

居場所の意味

大人が「ここは居場所だ」と決めるのではありません。

国は、子ども本人の感じ方を中心に置いています。

同じスタジオでも、「友達に会えて楽しみ」と思う子もいれば、「毎回、失敗するのが怖い」と感じる子もいるかもしれません。大人から見た良い教室と、子どもが安心して過ごせる場所は、いつも一致するとは限りません。

国の指針では、建物だけでなく、音楽や活動の時間、先生や仲間との関係、オンラインのつながりなども、居場所になり得るとしています。

誰かに「居場所」を与える前に、
その子がどう感じているかを知る。

居場所は成長や人間関係によって変わることもあります。子どもが辞めたいと感じたり、別の活動を選んだりすることも、本人の意志として丁寧に受け止めたいところです。

子どもが抱く思いは一人ひとり違うため、指導者が「絶対にこの教室が必要だ」と決めつけないことが大切です。

指針の4つの柱

「ふやす・つなぐ・みがく・ふりかえる」。

国が示す4つの視点。順番や優先順位はなく、互いにつながっています。

国の視点 1

ふやす|選択肢を増やす

身近な地域にいろいろな活動があること。新しい施設をつくるだけでなく、すでにある場所を生かす考え方も含まれます。

国の視点 2

つなぐ|利用しやすくする

どんな場所があるかを知らせ、交通・費用・情報・気持ちの面で参加しにくい子にも目を向けます。

国の視点 3

みがく|よりよい環境へ

子どもの声を聴き、安心できるか、危険はないか、望む関わり方になっているかを見直します。

国の視点 4

ふりかえる|確かめて改善する

参加者数やイベントの回数だけでなく、子ども自身がどう感じたかを振り返ります。

4つの認定条件や点数表ではありません。 これらは国の居場所政策を考えるための視点です。SDAでは、子どもの声を大切にする指導を考える際の参考として紹介しています。

出典:国の指針の概要版 ↗

こどもの意見

「居たい」「行きたい」「やってみたい」。

大人の希望より先に、子どもの言葉に耳を傾けます。

気持ちを大切に

居たい

失敗しても安心していられる。誰かに認められていると感じられる。

選ぶ自由

行きたい

自分からその場所へ行きたいと思える。無理に通うことを強いられていない。

主体的な挑戦

やってみたい

新しいことに挑戦したくなる。自分の希望を口に出せる。

国の取り組みと活動

国は、指針を発表するだけで終わっていません。

2026年度も自治体や地域の担い手を支援する事業が続いています。

2023年12月居場所づくり指針

政策の基本となる考え方を閣議決定。子どもの声を聴くことを中心に据えました。

2025年度から地域の調整役を支援

自治体・住民・団体をつなぐコーディネーターの配置等を支援する事業を開始。

2026年度地域支援を継続

居場所づくりの支援体制強化やコーディネーター配置の実施・交付要綱を公開。

自治体の環境整備

こどもの居場所づくり支援体制強化事業

地方自治体が、地域の居場所づくりを進める体制を整えるための事業。実践例や要綱が公開されています。

地域をつなぐ人

コーディネーター配置等支援

自治体や地域団体の活動をつなぐ人材を支援し、子どもが多様な居場所に出会える環境を目指します。

こども家庭庁は、災害時の居場所や小学生の朝の居場所づくりも政策として扱い、各地の取組事例や動画・パンフレットを公開しています。

個人教室への補助金を約束する制度ではありません。これらは主に自治体等が地域の支援体制を整えるための事業です。参加方法、費用助成や対象団体の条件は、それぞれの要綱と自治体の募集案内で確認する必要があります。
制度の対象を混同しない

学校・福祉・地域支援と、バレエ教室の違い。

同じように子どもと関わっていても、制度上の役割は同じではありません。

活動の場主な役割や位置づけバレエ教室が学べること
学校・児童館など教育や子どもの活動を支える公共的な役割。学校には学校の制度や義務があります。子どもが安心して話せる関係、相談につながる仕組み。
自治体の居場所事業自治体や委託先等が事業ごとの目的・要件に沿って運営します。参加しにくい子への配慮、複数の地域資源とのつながり。
福祉・相談の専門機関専門資格や制度に応じて、家庭や子どもの困難に対応する機関があります。抱え込まず、必要な人や機関へつなぐ姿勢。
民間バレエ・新体操教室踊りや運動・芸術を教える場。公的居場所支援事業と自動的に同じ制度の対象にはなりません。技術指導に加え、子どもの声、安心、参加しやすさを考える。
学校向けの手引や自治体の補助制度が、そのまま民間教室の義務になるわけではありません。 一方で、子どもを預かる立場として、虐待・暴力等を避けること、安全を考えること、個人情報を適切に扱うことは、指針の有無とは別に重要です。具体的な法的義務は教室の運営形態や行為に応じて判断してください。
バレエ業界と政策の接点

習い事も、子どもの居場所になり得る。

この点は、こども家庭庁の指針に明記されています。

バレエ教室は本来、踊る技術や表現を学ぶ場所です。練習を通じて上達し、舞台や音楽を楽しみ、ともに作品をつくる。そうした時間の中で、家庭や学校とは違う自分でいられる子どももいます。

国の指針は、塾や習い事のような活動でも、子どもがそう感じるなら、結果として居場所になり得ると説明しています。だからこそ、バレエ教室が子どもの日常に持っている意味を、芸術教育の外側からも見つめ直すことができます。

ただし、長く通っているから必ず居場所であるとは限りません。配役、身体への評価、友達との比較、先生の言葉などが、子どもにとって負担になる場面もあります。

「上達したか」だけでなく、
「その子は、安心してここにいられるか」。

芸術性を追求することと、子どもの尊厳を守ることは対立しません。踊りを教える専門性を大切にしながら、相手の感じ方も確かめることができます。

記事の位置づけ:これはSDAが指針をバレエ教育に当てはめて考えた解説です。国が特定のバレエ技術や配役の判断を新たに規制したという意味ではありません。
地域でできること

地域の教室と行政が、つながる可能性。

国は、地域にある活動や人材を生かすことを重視しています。

知る

地域の取り組みを知る

自治体が公開する子どもの居場所マップや地域活動の紹介を確認する。教室に関係する連携の機会がないかを探してみます。

つなぐ

活動をわかりやすく伝える

誰が参加できるのか、費用や日時はどうか、見学や相談は可能か。初めての家庭にも伝わる情報を用意します。

つながる

他分野と交流する

学校、文化施設、地域の活動団体など、目的が異なる人たちとも交流し、必要なときに頼れる関係を作ることができます。

広げる

得意なことを持ち寄る

音楽や身体表現の体験、地域行事での発表など、教室の専門性を地域へ分かち合う方法を検討できます。

続ける

無理のない継続方法を考える

無料のイベントだけに頼らず、運営資金、教師の負担、安全管理を含め、長く続けられる形を探します。

聴く

子どもの声を聞き直す

地域の大人が考えた計画だけで進めず、実際に参加する子どもが望んでいることを確認します。

自治体との連携は、個別に相談することが必要です。 誰でも公的事業の委託先や助成対象になるわけではありません。制度の名称、募集、予算、対象団体は自治体によって異なります。

参考:国・自治体の居場所づくり支援施策一覧 ↗

現場へ置き換える

いつものレッスンで、こんな問いを持てます。

以下は国の公式指導基準ではなく、SDAが考えた例です。

失敗との向き合い方

うまくできなかった日

成果が出なかった日にも、その子の存在を認める言葉をかけられているでしょうか。

仲間との関係

友達との距離

同じクラスにいても、輪に入れない子、静かに過ごしたい子の気持ちは異なります。

本人の意思

発表会を迷っているとき

大人の期待だけで決めず、本人が何を心配し、何を望んでいるかを聞けているでしょうか。

安全な境界

叱責・身体接触

指導する側は必要だと思っていても、子どもに怖さや不快感がないかを確認します。

多様性

個人差があるとき

年齢、身体、発達、障害や感覚の違いに応じて、参加しやすい方法を考えられるでしょうか。

変化を尊重

辞めたいと言われたとき

続けさせることだけを成功と考えず、その子が次に進む選択も尊重します。

子どもの権利と安全

「居場所」を考えることと、子どもを守ること。

安心できる環境は、優しい言葉だけではつくれません。

国の指針は、子どもの声を聴くことだけでなく、子どもの権利を守ることや、行政と民間が役割に応じて連携することも大切にしています。

民間バレエ教室では、本人の意向に加え、身体接触の説明、写真や動画の取り扱い、一対一指導、ハラスメントの防止、悩みを話せる相談先などを見直すことができます。

子どもの声

できること:無理に聞き出さない

子どもが話したくないことを強く聞き出さず、意思を尊重します。困っている様子があれば相談できる方法を知らせます。

安全な連携

できること:専門家へつなぐ

虐待や大きな危険が疑われる場合は、教室だけで調べたり解決しようとせず、適切な相談機関に相談します。

深刻な危険がある場合は、通常の教室内の話し合いより安全確保が先です。 緊急時は警察・救急などの適切な機関へ。児童虐待が疑われる場合は児童相談所虐待対応ダイヤル「189」など、状況に合った相談先を検討してください。個人情報の共有範囲にも配慮が必要です。
法律上の義務との区別:この居場所づくり指針それ自体が全教室に新しい資格・報告義務を課すわけではありません。一方、暴力や虐待、個人情報等に関する別の法律・制度は、事業や行為に応じて民間教室にも関係します。
SDAによる実践の提案

小さな教室でも、まず4つから始められます。

大きな事業を始める必要はありません。

1

子どもの声を聴く

「楽しい?」「嫌なことは?」だけでなく、答えやすい聞き方や、話したくない自由も大切にします。

2

選べる機会をつくる

見学、発表会への参加方法、相談手段など、できる範囲で選択肢を用意します。

3

教室の安全を点検

言葉、身体接触、撮影、困ったときの連絡先を、先生同士でも確認します。

4

定期的にふりかえる

参加人数や実績に加え、子どもの変化や気持ちを確認して教室の運営を見直します。

上記はSDAによる提案であり、こども家庭庁の公式チェックリストや義務項目ではありません。

先生の確認リスト

子どもの視点から考える、12の問い。

教室の合否を決めるものではなく、自分の指導を振り返るための問いです。

次の12項目は、こども家庭庁の指針から着想を得てSDAがまとめたものです。答えを一度に出す必要はありません。

  1. 子どもが教室をどう感じているか、知ろうとしているでしょうか。
  2. 上達やコンクールの結果だけで、その子を評価していないでしょうか。
  3. うまくいかなかった日も、安心して帰れる言葉をかけられているでしょうか。
  4. 「嫌だ」「怖い」「今日は休みたい」と言いやすいでしょうか。
  5. 子ども自身の「やってみたい」を聞けているでしょうか。
  6. 発表会や選抜について、本人の希望を確認できているでしょうか。
  7. 友達と過ごすことを望む子も、一人でいたい子も尊重できているでしょうか。
  8. 身体接触や撮影について、本人が断れる方法を用意していますか。
  9. 参加費や移動の問題など、教室に通いにくい事情へ目を向けていますか。
  10. 成長や環境が変わった子どもの気持ちを、以前のままだと決めつけていませんか。
  11. 先生だけで抱えず、困ったときに相談できる先を知っていますか。
  12. 地域のなかで、教室が持つ役割を技術指導以外の言葉でも説明できますか。
大切なのは、よい答えを並べることではありません。 日々子どもと向き合うなかで、何を知り、何を変えられるかを考え続けることです。
よくある質問

よくある質問。

国の制度と、教室での取り組みを混同しないために。

国の指針は、バレエ教室に直接適用されますか?

指針は国の政策上の考え方で、通常の民間バレエ教室に新しい認定や資格取得を一律に義務づけるものではありません。一方、習い事なども該当する部分について考え方を踏まえることが期待されています。

バレエ教室も国の「居場所」として認定されますか?

この指針そのものに、民間バレエ教室を自動的に認定する仕組みはありません。地域の事業に参加する場合は、その自治体が定める別の条件を確認します。

レッスンで厳しく教えることは、すべて悪いのでしょうか?

そういう意味ではありません。技術の指導や挑戦には厳密さも必要ですが、侮辱、恐怖、無理強いなどと区別し、子どもの意思と安全を守ることが大切です。

子どもが「ここは居場所ではない」と感じたらどうすれば?

まず本人の話を聞き、理由を決めつけないことです。関係や環境を改善できる場合もあれば、別の活動がその子に合う場合もあります。

こども家庭庁の支援事業には、個人教室も申請できますか?

事業により対象・窓口・申請主体が異なります。主に自治体の体制整備を支えるものもあり、個人教室が直接助成を受けられると約束するものではありません。

子どもの話をどこまで先生が聞いてよいですか?

気持ちを受け止めることはできますが、虐待や深刻な悩みの聞き取り・支援を教室だけで抱え込むべきではありません。安全を確保し、必要な専門機関へ相談します。

国の資料を教室の研修に使ってよいですか?

公開資料を読んで学ぶことはできます。配布、転載、二次利用は資料ごとの著作権・利用条件を確認し、国の正式認定や監修があるかのように表示しないでください。

最初に何をしたらよいでしょうか?

子どもの声を聞く方法、断る・相談する方法、写真や身体接触の説明、ふりかえりの機会を一つずつ整えることから始められます。

この資料を共有する意味

「東京から地域へ。地域から全国へ。」

行政の取り組みを知り、地域の先生と子どもの未来へ。

国は、子どもの居場所を家庭や学校だけに限らず、地域全体で考える方向へ進んでいます。それは、地域に根づくバレエ・新体操の教室が持つ意味を見つめ直す機会でもあります。

毎日のレッスン、発表会、少しの会話。指導者が積み重ねてきた時間の中には、技術や成績だけでは測れない価値があります。

だからこそ、子ども本人の視点を忘れずに、学校や行政、地域のさまざまな活動とつながる可能性を考えていきたいと思います。

資格で指導の質を高め、
支援で教室を守り、
社会とのつながりで、地域の可能性を広げる。

バレエ安全指導者資格®の教育ライブラリでは、国や自治体の施策を、民間教室に一律の義務として押しつけるのではなく、先生方が子どもとの関わり方や地域での役割を学ぶための資料として紹介していきます。

参考資料

こども家庭庁の公式資料。

政策の内容・事業の対象・申請条件は必ず原資料で確認してください。

  1. こども家庭庁「こども・若者の居場所づくり」 ↗

    政策の全体像、事例、今後の関連資料

  2. 「こどもの居場所づくりに関する指針」本文 ↗

    2023年12月22日閣議決定の政策文書

  3. 「こどもの居場所づくりに関する指針」概要版 ↗

    居場所の考え方と4つの視点の要約

  4. 「こどもの居場所づくりに関する指針」解説書 ↗

    政策の背景と実践の考え方

  5. 「こどもの居場所づくり支援体制強化事業」 ↗

    2026年度の実施・交付要綱など

  6. 「こどもの居場所づくりコーディネーター配置等支援事業」 ↗

    2026年度の実施・交付要綱、事例集

  7. 「こどもの居場所づくり」広報啓発資料 ↗

    こども・おとな向けの動画やパンフレット

  8. 国・地方公共団体の「こどもの居場所づくり」支援施策一覧 ↗

    自治体等の施策を調べるための入口

出典とSDAの提案は区別しています。 行政の指針・事業に関する説明はこども家庭庁の資料に基づき、バレエの指導場面、地域連携の例、12の問い、4つの行動はSDA独自の解説・提案です。国による認定・監修・提携を意味しません。

公的情報の確認日:2026年10月15日。国や自治体の募集内容、年度、運用は変更されることがあります。

SDA

執筆:バレエ安全指導者資格®事務局

身体・心・栄養・医療・教育・芸術の視点に加え、国や行政の施策をバレエ・新体操の指導者へ共有しています。

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