相談できる場所を、
知っていますか?スポーツ庁の暴力・ハラスメント防止の取り組みから、バレエ教室が学べること。
子どもや選手が安心して学び、踊り続けられるように、国やスポーツ団体は暴力・ハラスメントを防ぐ教育と、相談できる仕組みづくりを進めています。この記事では、スポーツ庁が公開している相談窓口一覧を紹介しながら、バレエや新体操などの教室で取り入れられる考え方をまとめます。
問題が起きる前からできる安全対策です。
スポーツ庁の暴力・ハラスメント対策とバレエ教室の相談体制
教室がどこに所属していても、学べることがあります。
スポーツ庁は、すべての人が健全にスポーツへ取り組める環境を目指し、暴力やハラスメントの防止を進めています。その一つが、困ったときに相談できる窓口の情報をまとめて公開することです。
バレエ教室は、学校の部活動や競技団体とは運営の仕組みが異なります。それでも、子どもに技術を教えること、身体や心に長く関わること、先生と生徒の間に立場の差があることは共通しています。
この記事では「国や団体が実際に行っていること」と「SDAが教室向けに提案すること」を分けて紹介します。
国は、どんな問題をなくそうとしているのでしょうか。
スポーツ庁は公式サイト「スポーツにおける暴力・ハラスメント等の根絶に向けた取組」で、指導者や選手への教育・研修、相談窓口の整備、運動部活動の安全確保などを進めていると説明しています。
体罰や暴言、威圧、性的な嫌がらせなどは、スポーツを安心して楽しむことや、健全に成長することを妨げます。上達や結果を理由に、相手を傷つける行為を正当化しないことが基本です。
痛みや恐怖を我慢しなければならないわけではありません。
この方針はスポーツ分野の行政施策として示されています。バレエ教室へ個別に示された指導方法の規則ではありませんが、身体を使い、子どもを育てる教室にも学べる考え方です。
出典:スポーツ庁の公式ページ
相談のための情報は、更新されています。
今回確認できた、公的機関の主な動きです。
スポーツ庁が相談先一覧を一部更新
スポーツ庁の公式ページには、23ページの「暴力・ハラスメント等相談窓口一覧」が掲載されています。競技や所属による窓口の違い、相談先の連絡方法を調べる資料です。
法務省が子どもの相談を強化
全国一斉の「こどもの人権相談」強化週間が行われ、電話やLINEによる相談の受付時間を拡大しました。期間は終了していますが、通常の相談窓口は引き続き案内されています。
相談先の対象を確認することが重要
スポーツ庁の掲載ページで確認できる一覧は「令和8年3月一部更新」版です。窓口ごとの条件や電話番号は変わる場合があるため、実際の相談前に各機関の公式案内も確認します。
民間のバレエ教室には、どこまで関係するのでしょうか。
スポーツ分野に向けた相談体制
スポーツ庁は競技団体等と協力し、教育や相談先の情報提供を進めています。窓口の対象者は団体ごとに異なります。
暴力や性暴力などに関する法律
民間教室だから暴行、性犯罪、児童虐待などの問題と無関係になるわけではありません。行為や事業の実態に応じて、一般の法令が適用されます。
教室独自の相談と予防のルール
連絡先、身体接触、撮影、苦情の受付、記録、外部機関へのつなぎ方などを、教室の規模に合わせて整えることを提案します。
学校の部活動や特定のスポーツ団体のルールが、そのまますべての個人バレエ教室に適用されるわけではありません。一方で、子どもを預かる現場がどのように安全対策を整えているかを知ることは、指導者にとって大切な学びです。
23ページの相談窓口一覧には、何が載っているのでしょうか。
窓口の名称だけでなく、誰が相談できるのかを確認しましょう。
スポーツ庁の一覧は、競技横断の窓口、競技別の窓口、人権・子どもの相談窓口などをまとめた資料です。2026年3月に一部更新されました。
たとえば、競技団体に登録している人に関する相談、学校の部活動の問題、制度で定められたトップアスリートの相談、人権に関する相談では、利用できる窓口が異なります。
「どこで起きたか」「誰が困っているか」で、相談先は変わります。
競技団体の登録がある場合
日本スポーツ協会や各競技団体などの窓口を確認します。登録の有無、相談できる行為や期間などに条件がある場合があります。
日本スポーツ協会の案内 ↗トップアスリートに関わる場合
日本スポーツ振興センターには、制度で定めるトップアスリート本人や関係者のための第三者相談・調査制度があります。誰でも利用できる一般窓口ではありません。
制度の対象を確認 ↗学校の部活動などの場合
学校、教育委員会、学校関係団体等の相談経路を確認します。民間スタジオと学校の制度は同じではありません。
スポーツ庁の一覧 ↗独立した民間教室の場合
競技団体の受付条件に当てはまらないことがあります。子ども・人権に関する公的相談、児童相談所、法律や医療等の専門機関など、内容に合う外部の経路も考えます。
公的な相談先を見る ↓子どもや保護者が知っておきたい、相談の入口。
それぞれ役割が異なります。緊急時は通常の相談受付を待たず、命や身体の安全を優先します。
24時間子供SOSダイヤル
0120-0-78310子どもや保護者などが、不安や悩みについて夜間・休日も相談できる全国共通の窓口です。バレエ団体への処分を求める専門窓口ではありません。
公式案内を確認 ↗こどもの人権110番
0120-007-110いじめ、暴言、虐待など、子どもの人権について相談できます。通常の電話受付は平日8時30分~17時15分。LINEやSOSミニレターなどの方法も案内されています。
公式案内を確認 ↗児童相談所虐待対応ダイヤル
189子どもへの虐待が疑われる場合の通告・相談先です。日常的なレッスンの苦情をすべて受け付ける一般窓口ではありません。虐待かもしれないときに利用できます。
公式案内を確認 ↗緊急の安全確保
警察 110 / 救急 119身の危険や緊急のけががある場合は、安全な場所へ離れ、必要に応じて警察・救急へ連絡してください。
バレエ教室では、どんな場面に置き換えて考えられるでしょうか。
ここからは国の公式な禁止行為一覧ではなく、SDAが教室向けに整理した実践例です。
身体に触れて教える
手足や姿勢の補助が必要なとき、理由を説明し、嫌だと言えるようにします。断っただけで不利益になる環境にしません。
体重や体型について話す
見た目をからかったり、人前で恥ずかしい思いをさせたりしないようにします。健康上の心配は、必要に応じて専門家へつなぎます。
配役や進級を決める
配役や選抜に関する先生の権限が、相談をさせない圧力になっていないか確認します。
一対一の指導や遠征
個人レッスン、宿泊、送迎など、第三者が状況を把握しにくい場面には明確なルールが必要です。
撮影やSNSへの掲載
子どもの顔や身体、失敗した様子などを本人や保護者への説明なしに公開しないようにします。
先生が相談の相手になっている
教室の主宰者が相談される側でもある場合、内部だけでは話しにくくなります。外部の相談先も伝えましょう。
スポーツ庁がバレエの個別レッスンや配役を調査し、これらを一律の法的違反と判断したことを意味しません。実際の責任や制度の適用は、事案ごとに確認が必要です。
最初の対応で、大切にしたい六つのこと。
話を聞く先生が、一人で事実認定や解決までする必要はありません。
- まず、安全を確認する。
いま危険な場所にいないか、けがや強い不安がないか確かめます。緊急時は安全確保を優先します。
- 話してくれたことを受け止める。
「話してくれてありがとう」と伝え、責めたり、無理に詳しく聞き出したりしません。
- 秘密にできる範囲を説明する。
守るために必要な人や機関へ情報を共有する場合があることを、できるだけわかりやすく伝えます。
- 確認した事実と、本人の言葉を分けて記録する。
日時、場所、話された内容を簡潔に記録し、勝手な推測やうわさを混ぜないようにします。
- 相談したことで不利益が出ないようにする。
レッスン、配役、参加、評価などで不利にならないように配慮し、必要に応じて接触を避けるなどの安全対策を考えます。
- 状況に合う外部機関へつなぐ。
教室の中だけでは判断できない問題は、児童相談所、人権相談、警察、医療・法律の専門職などへ相談します。
深刻な被害や犯罪が疑われるとき、無理に話し合いをさせたり、子どもへ繰り返し説明を求めたりすると負担になることがあります。安全確保と専門機関への相談を優先してください。
「話してよかった」と思えるように、情報を守ります。
行いたいこと
- 相談内容を知る人を最小限にする
- 共有する理由と範囲を説明する
- 記録の保管担当とアクセス権を決める
- 本人と家庭の安全を確認する
- 相談後の不利益や報復を防ぐ
避けたいこと
- 相談内容を他の保護者へ伝える
- 事実を確認する前にSNSで公表する
- 子どもへ何度も細かい話をさせる
- 本人の気持ちを無視して和解を急ぐ
- 保護者への連絡を安全確認なしに機械的に行う
家庭内での虐待などが疑われるときには、保護者への連絡がかえって危険になる場合があります。家庭への伝え方についても、児童相談所などの専門機関へ相談してください。
先生が一人の教室では、何から始めればよいでしょうか。
大きな組織と同じ人数や仕組みを、すぐに用意できない教室もあります。だからといって、相談先がないままでよいわけではありません。
まずは、教室の連絡先とは別に、子ども・保護者が利用できる公的窓口を一緒に案内することができます。見学や面談の方法、身体接触の説明、写真掲載の確認などを短い文章にして共有することも、一歩です。
子どもも孤立させない仕組みを。
学校やスポーツ団体で行われている対策を知り、無理なく続けられる形へ変える。それが、国の資料を民間教室で学ぶ意味だと考えます。
相談できる教室のための12項目。
国の公式チェックリストではありません。教室に合ったルールを考えるための例です。
- 暴力やハラスメントを認めない方針がある
- 子どもや保護者にも方針を伝えている
- 身体接触の目的を説明している
- 体型や外見への言葉を慎重に選んでいる
- 痛い・怖い・嫌だと言えるようにしている
- 相談したことで不利益を与えない
- 先生本人以外への相談先がある
- 公的な相談窓口の情報を伝えている
- 相談を受けたときの対応手順がある
- 記録と個人情報の扱いを決めている
- 個人レッスン・撮影・SNSのルールがある
- 研修や見直しの機会がある
相談窓口とバレエ教室について。
Q1. スポーツ庁の相談窓口は、すべてのバレエ教室の相談を受け付けますか?
いいえ。スポーツ庁が紹介する窓口は、団体ごとに所属・登録資格・相談できる行為などの条件があります。民間の個人教室の相談を、すべての窓口が受け付けるわけではありません。まず各窓口の公式ページで対象を確認します。
Q2. スポーツ庁の取組は、民間教室への新しい法律上の義務ですか?
この相談窓口一覧は、民間バレエ教室に新しい資格や一律の相談窓口設置義務を課すものではありません。ただし、暴行、性暴力、児童虐待、個人情報の取扱い、雇用関係などは、該当する法令に基づく責任が生じ得ます。
Q3. 先生本人とのトラブルは、本人に直接話さなければいけませんか?
直接話すことが難しい場合は、無理をする必要はありません。教室以外の相談先、子どもや人権に関する公的窓口、関係団体、専門家などを利用できるか確認しましょう。
Q4. 「24時間子供SOSダイヤル」はバレエ教室の専門窓口ですか?
いいえ。文部科学省が整備する、子どもや保護者などが悩みを相談できる窓口です。バレエ団体を調査・処分する専門機関ではありません。困りごとの内容に合う相談先へつながる入口の一つとして紹介しています。
Q5. 被害を受けた子どもが自分で相談してもよいですか?
はい。子どもの人権110番や24時間子供SOSダイヤルなどには、子ども本人から相談できる窓口があります。法務省はLINEやSOSミニレターも案内しています。
Q6. 子どもから相談を受けたら、先生は何を聞けばよいですか?
まず安全を確かめ、話したい範囲で聞きます。誘導する質問や同じ話の繰り返しを避け、相談者の言葉と確認できた事実を分けて記録します。差し迫った危険がある場合は速やかに公的機関へ連絡します。
Q7. 保護者には必ずすぐにすべて伝えますか?
子どもの安全、本人の意思、家庭状況、法令上の必要性を考えて判断します。家庭内の虐待などが疑われる場合は、一律に家庭へ知らせる前に児童相談所や専門機関に相談することが大切です。
Q8. SDAのバレエ安全基準(BSS)を使えば、国の制度に認定されますか?
いいえ。BSSはSDAが示す自主的な安全基準です。国による認定、スポーツ団体の登録、調査・処分の制度とは別です。
元の資料を確認したい方へ。
2026年10月15日時点で確認できた公式資料です。実際に相談する際は、窓口の最新情報をご確認ください。
- スポーツ庁「スポーツにおける暴力・ハラスメント等の根絶に向けた取組」
- スポーツ庁「暴力・ハラスメント等相談窓口一覧」(令和8年3月一部更新、23ページ)
- 日本スポーツ協会「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」
- 日本スポーツ振興センター「第三者相談・調査制度」
- 文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」
- 法務省「こどもの人権110番」
- 法務省「人権相談」
- 法務省「令和8年度 こどもの人権相談 強化週間」
- 法務省「こどもの人権SOSミニレター」
- こども家庭庁「児童相談所虐待対応ダイヤル189」
- バレエ安全指導者資格®「バレエ安全基準(BSS)」
安心して踊り続けられる教室へ。
安全な指導について学ぶこと、教室のルールを整えること、外部の相談先を知ること。できることから始めましょう。
SDAの講座やバレエ安全基準は、行政による相談・調査・処分の機関ではありません。
