睡眠を管理するのではなく、
良い睡眠につながる環境をつくる
高橋 真帆先生|スタジオバレリータ主宰
子どもたちの上達を願うことと、十分な睡眠や心身の健康を守ること。その二つを対立させるのではなく、今ある環境の中でできることを考える。高橋真帆先生のレポートには、生徒を管理するのではなく、自分でより良い選択ができるよう支えるという、温かく誠実な指導観が表れています。
みなさま、こんにちは。バレエ安全指導者資格®事務局です。
今回は、現在バレエ安全指導者養成スクールをご受講中の、スタジオバレリータ主宰・高橋真帆先生による課題レポートをご紹介いたします。
子どもたちの成長にとって、睡眠が大切であることは多くの方が理解されています。けれど実際の現場では、学校、勉強、部活動、家庭での時間、そしてバレエのレッスンが重なり、理想だけでは解決できない難しさもあります。
睡眠を「管理するもの」ではなく、「自分で選ぶための学び」として
睡眠時間を守るために、レッスンを早く終える。もちろん、それは大切な選択肢の一つです。しかし、すべての教室がすぐに時間割を変えられるわけではなく、生徒たちの学校や家庭の事情も一人ひとり異なります。
高橋先生は、理想だけを掲げるのではなく、現実を見つめたうえで、レッスンの中にできる工夫を探しています。睡眠時間だけでなく睡眠の質に目を向け、レッスン中の心理的な負担、呼吸、自律神経、心身の疲労まで考える姿勢です。
より良い睡眠につながる環境と知識を手渡す。高橋先生のレポートから見える指導観
そこには、「先生が正解を決める」のではなく、生徒自身が自分の身体と心を感じ、将来にわたって自分を守る選択ができるようになってほしい、という願いがあります。
- お名前
- 高橋 真帆先生
- スタジオ
- スタジオバレリータ
- 受講講座
- バレエ安全指導者養成スクール
- 今回のテーマ
- 睡眠・自律神経・生徒主体の指導
高橋真帆先生の課題レポート
子どもたちの睡眠時間を守るために、でもバレエの上達も願うとした場合、バレエ教室が行えることはなんでしょう?
良い睡眠(時間・質)は、生活面だけでなく、バレエの上達や心身の成長にも大きく関わるものだと私自身も実感しています。
理想を言えば、22時頃には眠りにつけるようレッスン時間を早めることが一番の解決策かもしれません。しかし、当スタジオでは現時点で大きな時間変更は難しいため、現実的にできることを考えてみました。なお、小学生クラスは19時までに終了するため、主に中高生クラスを想定しています。
夜のレッスンだからこそ、必要以上に興奮させない
私が大切だと思うのは、睡眠時間の確保だけでなく、睡眠の質を高めることです。そのためには、自律神経を整えることが欠かせません。レッスンの中で過度なプレッシャーを与えたり、心身に無理をさせすぎたりしないこと、一回のクラスの中で不安や疑問をできるだけ解消し、モヤモヤを残さないことも大切だと思います。夜のレッスンだからこそ、必要以上に脳や神経を興奮させないことを意識しています。
また、レッスンの最後には呼吸を整え、身体と心を落ち着かせる時間を持つようにしています。副交感神経が優位になり、穏やかな気持ちで一日を終えられる状態で帰宅してもらうことも、睡眠の質につながると考えています。私はバレエ以外の生活について細かく指導することはあまりありませんが、少なくともバレエの時間の中でできるサポートはしていきたいと思っています。
不安や疑問、モヤモヤをできるだけ残さない。夜のレッスンにおける心理的な配慮
キッズヨガを通して、呼吸と心身の仕組みを伝える
当スタジオでは、どのクラスにもキッズヨガを取り入れています。小学低学年では気持ちを落ち着かせるために行うことが多く、高学年や中高生では発表会前後など、生徒たちの心身の疲労状態を見ながら取り入れています。
ヨガを通して、精神の安定が踊りの美しさにつながること、脳を落ち着かせることが集中力やパフォーマンスの向上につながること、呼吸の質が表現につながることなどを伝えています。ヨガの考え方としてではなく、学校の保健体育で学ぶような身体や心の仕組みを、バレエと結びつけながら話しています。
自分の身体や心と向き合う時間
普段のレッスンでは睡眠や食事など生活習慣について話す時間はあまりありません。そのため、このような時間を設けることで、自分の身体や心と向き合う機会になればと考えています。
ヨガの時間に瞑想を行うと、そのまま眠ってしまう生徒も少なくありません。それだけ日々頑張っているのだと感じます。
中高生の時期に、自分を守る自己管理を学ぶ
また、中高生の時期は自己管理を学ぶ大切な時期でもあると思っています。睡眠や食事、勉強、部活動、バレエとのバランスを自分で考えながら生活する力は、将来にもつながる大切な力です。
私たち指導者ができることには限りがあります。睡眠を含めた生活習慣については、ご家庭の考え方もあり、最終的には生徒本人が自分で選択し、管理していくものだと思っています。だからこそ私は管理をするのではなく、生徒たちが自分で考え、より良い選択ができるよう見守りながら支えていきたいと思っています。
睡眠、食事、勉強、部活動、バレエ。そのバランスを考える経験そのものが、将来の自己管理につながっていきます。
その日の状態に寄り添い、必要なレッスンへ変える
実際に6月頃は、生徒たちに疲れが見え始める時期だと感じています。その日の様子を見ながら、あらかじめ決まっている内容を中心に進める日もあれば、集中力を助ける内容や身体を整える内容に変更することもあります。今後も生徒たちの状態に寄り添いながら、その時々に必要なレッスンを考えていきたいと思います。
私は、クラスの主体はいつも生徒たちだと思っています。生徒たちが心身ともに健康な状態でバレエを続けられることが、結果として上達への近道になると考えています。先生のペースではなく、生徒たちの心と身体の状態に目を向けながら、バレエのある生活そのものを支えられるような指導を続けていきたいと思います。
健康に続けられることが、結果として上達への近道になる。高橋真帆先生
バレエ教室としてできること
バレエ教室としてできることは、睡眠を管理することではなく、良い睡眠につながる環境づくりや知識を伝えること、そして一人ひとりの心身の状態に寄り添いながら成長を支えていくことだと思います。
day6も楽しく学ばせていただきました。安全指導資格で出会う、素晴らしい先生方との出会いに感謝いたします。
引き続きよろしくお願いいたします。
上達を願うからこそ、バレエのある生活全体を見つめる
高橋先生、素晴らしいレポートをありがとうございました。
毎回のレポートも素晴らしいのですが、今回のレポートからも、上達を願うからこそ、子どもたちの心身の状態や日々の生活まで見つめようとする、高橋先生の温かく誠実な指導観が伝わってきます。
技術を教えることだけが、バレエ指導ではありません
目の前の生徒が今どのような状態にあるのかを感じ取り、その子が安心してバレエを続けられる未来を支えることも、大切な指導の一部です。
高橋先生の学びと実践は、まさに安全指導の本質を示してくださっているように感じます。
高橋先生、貴重な学びと現場でのご経験の共有をありがとうございました。ぜひ皆様もご参考になさってみてくださいね。
バレエ安全指導者資格®事務局
生徒の安全と健康を、学び、考え、伝えられる指導者へ
子どもたちや生徒の安全、健康について学びたい。目の前の生徒の状態に気づき、根拠を持って伝えられるようになりたい。そのように感じている方は、ぜひバレエ安全指導者養成スクールにご参加ください。
バレエ安全指導者資格® 安全指導者MAP
各コースを修了された先生がいらっしゃる全国のスタジオを、お教室選びや相談先を探す際の参考にご覧いただけます。
生徒の未来を守れる先生へ
バレエ安全指導者養成スクールでは、身体、心理、栄養、成長、芸術、指導法を横断して学びます。知識を覚えるだけでなく、目の前の生徒に合わせて考え、言葉とレッスンへ変えていく力を育てます。
